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[MOM933]松商学園FW中澤健太(3年)_10分でハットトリック!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 西京3-4松商学園 駒沢]

 自分たちで編み出した“オプション”で逆転されたゲームを再逆転、チームを17年ぶりの選手権勝利に導いた。

 疾風のようなハットトリックだった。逆転ゴールを奪われてから9分後。選手交代によってポジションを右サイドからトップに変えてから5分後。後半24分、突然松商学園FW中澤健太(3年)のギアが上がったように見えた。FW高橋隼人(3年)からの浮き球パスに相手DFの裏を抜けて右足で合わせ同点。それまで好守を連発していた西京GK足立晶(3年)も、こればかりはどうしようもなかった。そのわずか2分後の後半26分には、ゴール前中央で高橋と絶妙のワンツー。これで西京DFを置き去りにし逆転ゴール。最後は後半34分、ゴール前でこぼれ球が足元に来て、落ち着いてゴールにボールを蹴り込んだ。

 戦前は、県予選全試合でゴールを挙げている高橋に注目が集まった。松商学園の高山剛治監督は「高橋がマークされるのはわかっていた。そのぶん周りががんばってくれましたが、高橋本人は中澤がゴールしてるのを見て悔しい思いをしてるかもしれませんね(笑)」という。

 松商学園は練習メニューから選手のメンバー選考、主将の決定まで選手が自ら行う。そのブレーンといえるのがDF土屋貴明(3年)。今大会のメンバーには入っていないが、チームのパフォーマンスを支える中心人物だ。その土屋がメンバーに中澤を入れることを薦めたのだという。「ハットトリックはスゴいと思いました。泥くさいんで」(土屋)。「中澤は泥くさくて、ゴール前のルーズボールへの反応がいい。混戦で相手より一瞬早く動くことができるんです」(高山監督)そして、西京の田邊宏司監督が「相手FWがタフでうちDFが辛抱しきれなかった」というように、前半からトップの位置にいた高橋、FW中野佑哉の働きも中澤のハットトリックの伏線といえる。

 本人はハットトリックを達成して喜びあがった直後、両足をつって交代。周囲を活かし、周囲に活かされ、託された役割を全力で全うする。もちろん本人の実力が大きいが、チームがお膳立てしてくれた部分もあるハットトリック。喜びも格別ではないだろうか。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

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連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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