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[MOM936]水戸啓明DF阿部悠大(3年)_「水戸啓明の槍」が試合決める一刺し

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 立正大淞南0-1水戸啓明 オリプリ]

 自分が勝敗を分けるキーマンだと自覚していた。水戸啓明の右SB阿部悠大(3年)はこの日、U-18日本代表の左SB高橋壮也(3年)とマッチアップ。自分がサンフレッチェ広島入りを決めている注目SBに圧倒されてしまうとチームが崩壊してしまう。「自分のサイドをやられたらそこを狙われてどんどんいいクロスを上げられてしまう」。だからこそ絶対にやられないように集中していた。

 抜群のスピードと繰り返しオーバーラップしてくる走力が特長の高橋の前方を塞ぎ、味方との連係、そして1対1でも強さを発揮した。「縦に強くてスピードもあったので苦労しました」と振り返ったように、トップスピードで走りこんでくる相手に背後を取られかけるシーンもあった。ただし、相手の攻撃のキーマンである高橋に決定的な仕事をさせず。逆に前半38分、阿部は右サイドからのオーバーラップで高橋の背後を取ると、高精度のクロスボールをFW石川大地(3年)へピタリと通して決勝点をアシストした。

 この日は相手の攻撃力を警戒して自重していたが、本来はオーバーラップなど攻守両面においてスピードを活かしたプレーが持ち味。県大会決勝では0-1の前半終了間際にPAへのスルーパスに反応して豪快な右足シュートを叩きこむなど攻撃力を発揮してきた。この日も得点シーンあたりから攻撃に関わる回数を増やし、鋭いドリブル突破も見せた。そんな阿部を巻田清一監督は「槍」と表現する。「高いところへ行ったらセンタリングは速いボールも蹴れますし、やりきり方という部分ではウチのチームでは物凄くいい選手だと思っています。本当はハチの方がいいのかなと。かわいらしい。ただハチは1回刺したら死んじゃうから、槍は何度でも刺せるので。そういう意味で何回でも何回でも刺してもらえるように(槍と呼んでいる)」と期待する。

 阿部にとって高橋とのマッチアップと初戦突破は自信になった。「自分の中では最初ビビっている部分があった。(ただ)自分の力がどのくらい通用するかなと思っていたので楽しみでした」という高橋との攻防戦。大会ナンバー1のSBとの攻防戦で負けなかったが、自分自身のプレーについては謙虚なことばを連発していた。慢心することはない。次の試合でも自分のやるべき役割を徹底し、「一刺しする」チャンスを逃さずにチームに貢献する。

(取材・文 吉田太郎)

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