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[MOM949]市立船橋DF山之内裕太(3年)_初めて蹴った直接FKで決勝弾!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 中津東0-1市立船橋 フクアリ]

 公式戦で初めて蹴ったという背番号12の直接FKがV候補・市立船橋を2回戦へ導いた。市立船橋は0-0で迎えた後半28分、カウンターからドリブル突破を図ったMF室伏航(3年)がFKを獲得。キッカーの左SB山之内裕太(3年)が蹴ったFKは壁を越えるとGKの手を弾いてゴール右隅へ吸い込まれた。

 この場面、FKの地点にはチームの絶対エースであるFW石田雅俊(3年)と山之内が並んでいた。前半、枠へ強烈なFKを飛ばしている石田が蹴る仕草を繰り返す。当初は石田も蹴る意志を示していたというが、「自分が強く蹴らせてくれと言った」という山之内が左足一閃。「あの角度は得意。狙いはもっと隅だったんですけど(コースが甘かった)。蹴った瞬間ちょっと入らないかなと思った」と山之内は振り返るが、石田の絶妙な“囮”の動きもあって逆を突かれたGKの反応が遅れ、低い弾道の一撃はゴールヘ吸い込まれた。

 大会直前になってからキッカーのひとりに指名され、徹底してFKのトレーニングをしてきた山之内の一撃。これが公式戦で初めて蹴るというFKでいきなりゴールを破った。山之内は1年の時から名門のAチームに名を連ねていたが、なかなか壁を破ることができなかった。昨秋、新チームになってもポジションを確保することができなかったが、それでも今春の遠征で怪我人が出たことがきっかけでメンバーに入り、先発も奪取。「キックという部分では監督に期待されていると思います。それがなければ自分は出れない」と左足の向上に取り組んできたDFはワンステップで逆サイドまで運ぶサイドチェンジや的確にスペースへ落とすキック、そして高精度のクロスでチームに欠かせない存在となった。

 この日は緊張もあってファーストプレーでミス。バックパスが増えて自慢の左足を披露するシーンはわずかだったが、大きく成長した守備面で相手の突破を阻むと、終盤に見事な一撃を突き刺した。試合前日の1月1日にはチームで千葉市内の神社に初詣に行き、山之内は背番号と同じ数の硬貨を賽銭箱に入れたという。そのご利益か、運も味方につけたFK弾だった。MF中村俊輔(横浜FM)の映像を参考にトレーニングを積んできた山之内は「得点という形で結果が出たんですけど、(何よりも)チームが勝てたので良かったです」。優勝を目指すチームに新たな武器をもたらした山之内が今後も対戦相手の脅威となる。

[写真]後半28分、市立船橋DFが山之内が決勝FKを突き刺す

(取材・文 吉田太郎)
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