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[MOM955]京都橘GK永井建成(3年)_指揮官「満点」評価の守護神、PKセーブで完封勝利

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 藤枝東0-2京都橘 フクアリ]

 京都橘の米澤一成監督は無失点で強豪対決を終えた守護神について「満点でしたね。本当に良い出来だったと思います。ゼロに抑えられたのは永井のおかげ」と絶賛した。準優勝した昨年度もゴールを守っていた京都橘GK永井建成(3年、ロアッソ熊本内定)が大会屈指の実力を披露。1-0の後半17分にFW片井巧(3年)のPKをストップしたほか、臆せずに飛び出してヘッドでクリアするなど相手のロングボール攻撃をシャットアウトし、クロスへの対応もミスなく終えた。大会後加入する熊本サポーターへ向けても自身の実力を印象づけた80分間。「見に来てくださったと思うので、いいアピールができたと思います」と会心の表情を見せた。

 ハイライトはやはり、後半17分にPKを止めたシーンだ。その10分前にはエースFW小屋松知哉主将(3年)がPKを外してチームにはやや重苦しい空気が漂っていた。その中で後輩DFが奪われたPK。ただ永井は「これはヒーローになれるな、外した知哉の分も頑張って止めました」と自身のチャンスに変える。キッカーが蹴るギリギリまで動かずに我慢してから左へジャンプ。コースを突いた片井の一撃をキャッチする完璧なセービングだった。思惑通りにヒーローとなったGKは「相手の助走が短かった。GKから見て右に蹴る時は最後絶対に身体をひねるので、最後ギリギリまで我慢したらそのまま左に蹴ってきたので跳びました。PKはもうずっと我慢するというのは決めていた。タイミング取って跳ぶということができたと思います」と喜んだ。

 先月12日に熊本入り内定が発表。直後のプレミアリーグ参入戦1回戦(対瀬戸内)では至近距離からのシュートをことごとくストップする神がかり的な活躍を見せた。19本ものシュートを撃たれながらも、負傷者が出た隙に奪われた1点のみに抑えて勝利に貢献。続く星稜戦も立ち上がりに喫した1点のみで勝利して後輩たちにプレミアリーグ参入の切符をプレゼントした。スーパーセーブを連発した永井の活躍が間違いなく大きかったが、2試合ともに失点したことに満足感はなし。その際に誓っていた「選手権の本戦はずっと無失点で」という目標をまずは静岡の名門を完封することで果たした。

 大舞台で力を発揮しそうな印象だが、実は過緊張するタイプだという。試合前、大観衆を見て「鳥肌めっちゃ出て緊張に押しつぶされそうになった。ロッカールームでバナナ食べていたんですけど、喉を通らずに死にそうでした!」と笑う。それでも下級生4人のDF陣へ向けて「抜かれても最後オレが止めるから」と背中を押して、その言葉通りに無失点で切り抜けた。準優勝だった昨年の「忘れ物を取る」「京都に優勝旗を持って帰る」と宣言する守護神がチームを救い、自身も日本一へ好スタートを切った。

(取材・文 吉田太郎)
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