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[選手権]0-2から大逆転!富山一が「最後の国立決勝」を延長戦で制し、初優勝!

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[1.13 全国高校選手権決勝 富山一3-2(延長)星稜 国立]

 富山一が「国立最終章」で頂点に立つ!! 第92回全国高校サッカー選手権は13日、国立競技場で決勝を行い、ともに初優勝を懸けた富山一(富山)と星稜(石川)が激突。2点を先取した星稜に対し、富山一は後半42分から2点を奪い返して同点に追いつく。2-2で延長戦へもつれ込んだ一戦は、延長後半9分に交代出場のMF村井和樹(3年)が決めた決勝ゴールによって富山一が3-2で勝ち、初優勝を飾った。

 史上初めて北信越勢同士の対戦となった決勝。改修前「最後の国立決勝」に決着をつけたのは交代出場の富山一MF村井だった。延長後半9分、富山一は右SB城山典(3年)がロングスロー。これが中央へ流れると、背番号19が左足ダイレクトで優勝決定弾をゴールヘ突き刺した。そして1分間のアディショナルタイムのあと、優勝を告げるホイッスル。富山一が歴史にその名を刻んだ。

 今大会5戦13発の攻撃力を持つ富山一と今大会準決勝まで全試合無失点の星稜。4-2-3-1システムの富山一はGKが高橋昂佑(2年)で4バックは右から城山、藤井徹(3年)、村上寛和(2年)、竹澤昂樹(3年)。中盤はMF細木勇人(3年)と川縁大雅(3年)のダブルボランチでトップ下が主将の大塚翔(3年)。右MFが西村拓真(2年)、左MFが野沢祐弥(3年)、1トップは今大会4得点で得点ランキング首位タイの渡辺仁史朗(3年)が務めた。

 一方の星稜は4-4-2のシステムでGK近藤大河(3年)、4バックは右からDF森下洋平(3年)、DF寺田弓人(3年)、DF藤田峻作(3年)、DF上田大空(3年)。中盤は下り目のポジショニングでバイタルエリアを埋めるMF鈴木大誠(2年)とMF前川優太(2年)のダブルボランチ。両サイドは右が原田亘(2年)で左は寺村介主将(3年)、2トップはFW森山泰希(2年)とFW仲谷将樹}}(3年)が組んだ。

 試合は今大会全試合で前半25分までに先制点を奪っている富山一が押しこむ。スペースを突く渡辺や西村にロングボールを配球し、獲得したFKやCKからアイディアのあるシュート、崩しで先制ゴールを狙う。対する星稜は破壊力のある渡辺の突破をケアしつつ、いい形でボールを奪った際は森山、仲谷のスピードを活かしたカウンター攻撃。サイドをえぐるところまではボールを運んでくる。ただ、奪われた後のプレスが鋭い富山一は、素早くボールを奪い返して攻撃を展開した。

 17分には左ショートコーナーから絶妙なターンでDFを振りきった竹澤がゴールエリアまで切れ込み、19分には敵陣中央で一度ボールを失いながらも切り替えの速い守備で奪い返すと大塚がスルーパス。だが抜けだした野沢の右足シュートは、星稜GK近藤がビッグセーブで得点を許さない。押し込まれる時間帯が長かったものの、相手の攻撃を凌いだ星稜が先制点を奪った。33分、PAでのルーズボールの競り合いで原田がファウルを受けてPK。これをエース寺村が右足でゴール左隅へ突き刺した。

 富山一はすぐさま反撃に移るが、星稜の守備は集中力が高く、PAにボールを放り込まれても寺田と藤田の両CBが相手にボールを触らせない。逆に前半アディショナルタイムには右クロスをファーサイドの寺村が左足ダイレクトボレーで合わせるなど、2点目を狙いにいった。

 富山一は後半10分、竹澤のループパスからPAへ潜り込んだ野沢が右足を振りぬき、14分には西村に代えてスピードのあるFW高浪奨(3年)を投入。20分には左サイドの野沢からのパスを受けた川縁がDFをかわして右足シュートを狙ったが、これは星稜DF藤田に頭でクリアされてしまう。

 攻め切れない富山一を星稜がしたたかに突き放す。25分、相手のミスパスを自陣でインターセプトすると、一気にカウンター。中央から左サイドへ流れた仲谷が中央へクロスを入れると、飛び込んだ森山が2点目のヘディングシュートを叩き込んだ。星稜は30分に森山に代えてFW長谷川朔太郎(2年)を送り出し、富山一は32分に野沢に代えて村井を投入する。ただスコアは変わらないまま試合は終盤へ突入した。

 星稜は41分に主将の寺村に代えてMF稲垣拓斗(3年)を送り出す。徐々に追い詰められていった富山一だったが、残り3分に息を吹き返す。42分、カウンターから左オープンスペースへ展開すると、村井が中央へクロスボール。これを受けた高浪が執念の追撃ゴールをねじ込んだ。今大会無失点の星稜ゴールをついに破った富山一はその後、左サイドの竹澤にボールを集め、その突破力とアイディアから同点ゴールを狙うと、3分が表示されたアディショナルタイムにドラマを起こした。47分、ボールを必死につないだ富山一は中央の川縁が左前方へラストパス。走りこんだ竹澤がPAでDFに足をかけられてPK獲得する。48,295人の大観衆が固唾を呑んで見守る中、キッカーの大塚が右足シュートをゴール左隅へ決めて第92回大会の決勝は延長戦へもつれ込んだ。

 2大会ぶりとなる決勝での延長決着。延長戦では富山一・竹澤の左足ミドルがゴールを襲い、星稜・藤田の左足ミドルがクロスバーを叩く。再び突き放す1点を狙う星稜は延長後半6分に長谷川に代えてMF川森直威(3年)を送り出した。延長決着か、PK戦突入か。緊張感高まる中で死闘に決着をつけたのは村井の左足。延長残り1分でこの試合初めて勝ち越した富山一は、最後は大塚に代えてMF平寛治(3年)を投入して守り切り、初の日本一に輝いた。

(取材・文 吉田太郎)

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