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ブーイング浴びながらプロ初の2発、川崎F・田中裕「もう1点狙っていた」

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[8.18 J1第22節 横浜FM2-2川崎F 日産ス]

 意外な“伏兵”の2発で引き分けに持ち込んだ。川崎フロンターレはDF田中裕介が10年まで所属していた古巣の横浜F・マリノスを相手にプロ初となる2得点。0-2から追いつくドローでチームに勝ち点1をもたらした。

「もう1点狙っていたんですけど」。右SBながらチームを救う2得点。それでも貪欲にハットトリックを狙っていたことを笑いながら明かした。1点目は0-1の後半17分、MF中村憲剛の右CKからニアに走り込み、ヘディングで合わせた。

「ニアに行けば何か起こるかなと。憲剛さんにニアって言ったら、超いいボールを蹴ってくれた」。そう振り返った田中裕は「もともニアは得意だったから。マリノスでは高い選手がたくさんいたから(CKでゴール前に)上がることもなかったけど」と白い歯をこぼす。

 後半40分には高い位置でのインターセプトから自らドリブルで駆け上がり、左足ミドルをゴール右隅にねじ込んだ。直前の33分にFW小林悠のゴールがオフサイドの反則を取られ、“幻の同点ゴール”となったが、「ずっと攻めていたし、点は取れると思っていた」と焦りはなかった。「前が空いていたので、もっといけたし、パスも出せたけど、DFがズレたので、シュートを打とうと。いいところにいってくれた」と胸を張った。

 風間八宏監督就任までの開幕7試合は先発2試合、途中出場1試合のみだったが、風間体制になってからは15試合連続フル出場。これは田中裕を含め、中村、GK西部洋平の計3人しかいない。指揮官も「ゲームをあきらめずにやる選手。頼もしいし、これからもっともっと成長すると期待している」と称賛する。

 試合中はボールを持つたびに横浜FMのサポーターからブーイングが飛んだ。それでも「全然気にならない。(ブーイングは)来るものだと思っているので。気持ちいいぐらい」と平然と言った。先発11人の平均年齢24.64歳という若いチームの中で、26歳の右SBが見せる存在感。「前半は完全に若さが出た。のまれたというか、別のチームだった。後半みたいに伸び伸びやればできるというのは証明できたと思う。それが今後の課題」。まだまだ発展途上。チームのさらなる成長を田中裕自身が確信している。

(取材・文 西山紘平)

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