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磐田DF藤田「成長した姿を見せたかった」

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[9.29 J1第27節 F東京2-1磐田 味スタ]

 敵将も脱帽した。ジュビロ磐田のDF藤田義明のプレーについてFC東京ポポヴィッチ監督は「まるでベッケンバウアーのようなプレーを前半はさせてしまった。前半も素晴らしかったが、後半もほぼノーミスで1試合プレーしていた。それくらい良い出来だった」と絶賛した。前半と後半では、まるで別の試合のようになったが、磐田の中で特に光っていたのが藤田のプレーだった。

 前半9分、先制点の場面でも、起点となっている。藤田が最終ラインでMF梶山陽平のプレスをかわして、縦パスをMF菅沼実に入れた。そのボールが左のDF宮崎智彦、MF松浦拓弥とつながり、MF山田大記のクロスを菅沼実がヘッドで決めた。その後も守備面ではDF菅沼駿哉とともにFWエジミウソンを抑えながら、攻撃面でも前半28分にFW前田遼一にスルーパスを通すなど、チャンスをつくった。

 この試合に向けて、特別なモチベーションがあったという。「(ポポヴィッチ監督には)大分時代にお世話になって、成長させてもらいました。当時はかなりしぼられたけど、それが今生きています。より成長した姿を見せたかった」と語り、先制点の場面で起点になれたことについても「後ろからボールを動かすことは、ずっと(ポポヴィッチ)監督が来てからやっていたので。(磐田の)森下(仁志)監督にも、どんどん勇気を持って前にボールを運べと言われているし、自分の課題は縦パスなので、それを意識してもっとやりたい」と、この試合で指揮を執っていた2人の監督に感謝した。

 前半を1-0で終えた磐田だったが、後半は苦しい展開を強いられた。F東京の前からのプレッシングが強くなり、攻撃を組み立てられなくなった。ポポヴィッチ監督も前線に次々とフレッシュな選手を投入し、磐田の最終ラインに圧力をかける。

「前半はオレとか(菅沼)駿哉も裏を狙っていたのですが、後半になってから、裏に抜けて行く動きが極端に少なくなった。縦パスを入れづらくなった。(パスが)足元、足元だけになると相手も守りやすい。前半のように裏を狙いつつ、パスを狙えれば良かった。前半はチーム全体も機能していたし、すごくファイトしていたが、後半は流れが悪くなって踏ん張ることができなかったのが痛かった」

 後半9分と40分に失点した磐田は、逆転負けを喫した。首位の広島が勝利したことで、勝ち点差は11に広がったが、藤田は前を向く。「うちらは、もう1試合1試合やるしかない。勝ちを拾って、あと7試合勝って、どんどん上位にできればいい」と前を向き、「リードした安心感が後半はあったと思います。もっともっとアグレッシブに行ければ良かったけど、控えめだったというか、守りに入ったと言うか。やっているときはそんな意識はなかったんですけど、振り返るとそう感じます」と語り、次節の静岡ダービーに向けての修正を誓った。

(取材・文 河合拓)

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