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欧州挑戦封印の札幌MF古田、「幸せを感じた」サポーターのエールに応える奮闘

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[3.3 J2第1節 千葉0-1札幌 フクアリ]

 コンサドーレ札幌MF古田寛幸が自身にとって非常に重要なシーズンを白星スタートさせた。この日、右MFとして先発した古田は切れ味鋭いドリブルで貴重な突破口となると、MF神田夢実のスルーパスで左サイドをえぐるなど背後への飛び出し、そしてラストパスなどで札幌にチャンスをもたらした。自身は後半41分にMF砂川誠と交代したものの、激しい球際など守備面でも奮闘したMFは中軸のひとりとして劇的勝利に貢献した。

 札幌のために全力を尽くそうとする思いは誰より強いかもしれない。U-19日本代表として10年AFC U-19選手権に出場し、昨年、初のJ1で28試合4得点を記録した古田は、今年2月1日から9日までスイススーパーリーグのトゥーン移籍を目指して練習参加。クラブも「移籍を前提としたトライアル」と送り出す方向で、実際にトゥーンからもその高い能力を評価された。だが、契約には至らなかった。

 欧州挑戦は決定的と見られていただけに本人にとっても大きなショックだった。ただし気持ちの切り替えはできている。「難しかったと思いますけど、自分が選んだ道だったので、そこに揺らぐこともなく、しっかり切り替えることもできていたと思います。切り替えてやらないとプロではないと思うので、本当にコンサドーレのために、チームが勝つために自分は全力を尽くすだけです」と言い切ったMFに迷いはない。

 その古田を財前恵一新監督は開幕戦で先発起用し、ゴール裏を赤/黒で染めたサポーターも全力の「古田コール」。その信頼が本人にとっては何より大きな支えとなった。「久しぶりで(サポーターの反応が)不安だったんですけど、ああやって名前を呼んで頂いたことに改めて幸せを感じましたし、逆に自分はその気持ちを持ってピッチで表現して、今まで以上にもっと自分のプレーというか、勝利に貢献するプレーをしていかないといけないと思います」と力を込めた。

 もちろん自身の夢をあきらめるつもりはない。より評価を勝ち取るために結果にこだわる。「評価というのは結果という部分が大きいと思いますので、札幌で得点を取って、結果を出すことを最重要にやっていきたいと思います」。この日は相手を苦しめる動きをした一方で、強引なドリブルが網にかかる場面もあった。また昨年はJ1で「学ぶことだらけだった」とまだまだ自分自身に納得していない。自身を成長させてチームに勝利を。札幌の若きエースにとって今シーズンは、結果を出すこととともにチームに恩返しをしていく1年となる。

(取材・文 吉田太郎)

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