beacon

CK2発で開幕6連勝に導いた俊輔、「キッカーとしては贅沢」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.13 J1第6節 横浜FM2-1川崎F 日産ス]

 黄金の左足がチームを開幕6連勝に導いた。横浜F・マリノスのMF中村俊輔は前半45分、右CKでMF富澤清太郎の先制点をアシストすると、1-1で迎えた後半44分にも右CKからFW端戸仁の決勝点を演出。CK、FKから何度となく相手ゴールを脅かした。

 綿密な計算に基づいたキックだった。前半10分、この試合初めての右CK。左足で大きくカーブをかけ、直接ゴールを狙った。川崎Fのゴールを守るGK杉山力裕のデータがあまりなかったため、「どんなタイプか分からなかったから。パンチングするGKと、DFに任せるGKがいる」と、相手の特徴を把握するための“試し蹴り”だった。キックはクロスバーの上を越えてしまい、「もっとGKの目の前に脅威を与えられれば、甘いボールでも前に出てこなくなるんだけど」と反省したが、1本1本のキックで微調整していった。

「いろいろ蹴り分けて、DFの穴を探したり、ミスマッチを探していた。相手はゾーン(ディフェンス)だったから、ちょっと上めに蹴った。そうすれば走り込む時間ができる。走り込んで飛べば、止まってジャンプするDFに勝てる。でも、ちょっとニアで引っかかりすぎたかな」

 俊輔の狙い澄ましたキックからほとんどの場面で横浜FMの選手が競り勝ち、チャンスにつなげた。「カンペイ(富澤)、ボンバー(中澤佑二)、(栗原)勇蔵、マルキ(ーニョス)がいて、ニアにはマチ(中町公祐)もいる。キッカーとしては贅沢というか、蹴り分けしやすい」。長身選手がそろうターゲットに、正確無比なキック。セットプレー2発で試合を決めた。

 J1が1シーズン制になった95年以降、開幕6連勝は最多記録。それでも満足することはない。「(齋藤)学は持ったときにすごい縦に行くからサポートが遅れる。そこの使い分けがまだできてない。サポートを速くして、カウンターがシュートで終わるような連動と連係。学はいいところを持っているからもったいない」。そうチームとしての課題を口にする俊輔は「ロングシュートも少ない。カンペイも打てたのに安パイで横パスした場面があった。いろんなところで相手に脅威を与える攻めがあって、サイドの学のドリブルも生きる」と、どこまでも貪欲だった。

(取材・文 西山紘平)

TOP