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首位撃破の東京V、「特別なスタジアム」で高原が劇弾含む2ゴール

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[5.12 J2第14節 東京V2-1神戸 国立]

 この男には大舞台がよく似合う。東京ヴェルディは12日、前節G大阪との頂上決戦を制し勢いに乗る首位神戸と国立競技場で対戦。前半18分、FW高原直泰は自ら獲得したPKを沈めチームに先制点をもたらすと、1-1で迎えた後半ロスタイムにも劇的ゴールを蹴り込む。高原にとっては清水時代の11年5月22日の大宮戦以来の1試合2ゴール。33歳のベテランが執念で勝ち点3を手繰り寄せた。

「相手DFが右サイドの森に目が行っている中で、自分としてはMF森(勇介)のモーションを見て、ストレート系のボールを蹴ってくるだろうなと感じていた」。試合は1-1で表示の4分のロスタイムに突入していた。直前の神戸の猛攻をしのぎ切った東京Vにラストワンチャンスが巡ってきた。「疲れていた」高原だが、最後の力を絞り出し、森のボールに反応。「あの場面では俺が(駆け引きで)勝った」。付いていたDF岩波拓也のマークを駆け引きでかわすと、胸でコントロール。右足を突きだすと、執念の乗り移ったボールはGK山本海人の手を弾きながらもゴールラインを越えていった。

 劇的ゴールで首位を破った東京V。勝ち点を21に伸ばし8位に浮上した。しかし高原は「勝ったことだけがOKの試合」と試合内容には全く満足していない。自分を含めた攻撃陣に注文をつけ、「前のコンビネーションを良くしていきたい。できれば2トップの2人でゴールまで持って行けるような。昔、(ジュビロ磐田で)中山(雅史)さんとやっていたようなイメージがここでも出せるようにしていければいい」と理想を語った。

「子供の頃からの憧れ。高校サッカーで言えば聖地。歴史があるスタジアムでプレーする価値は上がっている。特別なスタジアムで決めることができたのは最高」と語った国立競技場での2ゴール。Jリーグ20周年を迎える今季。一時代を担ったストライカーが、健在ぶりをアピールした。

(取材・文 児玉幸洋)

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