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チームの勝利に捧げる2得点、柏FW工藤「レイソルからもっと代表に」

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[8.3 J1第19節 柏2-1鳥栖 柏]

「僕が(点を)取ってチームが乗るなら、もっと(自分に)プレッシャーをかけていかないといけない」。2得点をあげてチームを勝利に導いても、満足しない。柏レイソルの背番号「9」はそういう選手にこそふさわしい。

 前半、サガン鳥栖に圧倒されていたわけではなかったが、ボールが落ち着かなかった柏は、ホームでありながら前半29分までシュート0本。スコアレスのまま前半を折り返しそうな雰囲気を振り払ったのは、MF工藤壮人の一撃だった。

 DF鈴木大輔からの浮き球をMFレアンドロ・ドミンゲスがダイレクトでFWクレオに浮き球を送ると、すかさずクレオがダイレクトの浮き球でレアンドロ・ドミンゲスへリターンをする。93年にヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)のラモス瑠偉とビスマルクが魅せた、リフティングワンツーを彷彿とさせるプレーで鳥栖のDF陣を翻弄し、ボールに視線が釘付けになったところでレアンドロ・ドミンゲスがヘディングでスルーパス。鳥栖のDFラインの裏へ抜け出てGKと1対1を迎えた工藤がネットを揺らすのは容易なことだった。

「レアンドロとクレオがいいボールをくれたので、流し込むだけでした。チームメイトに感謝したいです」

 あっさりと先制に成功した柏だが、前半のシュート数はこの1本だけに抑え込まれる。後半に入っても同様の展開が続くが、そんな停滞ムードを再び背番号「9」が払拭する。鈴木のインターセプトからレアンドロ・ドミンゲスにボールが渡ると、鳥栖の左サイドバックDF金民友が上がっていたスペースでパスを受け右足で今季12点目を決めた。

 この日柏が採用したシステムは4-2-3-1で、工藤は本職のフォワードではなく右の攻撃的MFに入った。前回、敵地で鳥栖と対戦したときは3-0で完勝。その試合でハマったのが、工藤の右の攻撃的MF起用だった。鳥栖が本来中盤の選手で守備が得意ではない金民友を左サイドバックで起用していることもあり、工藤がサイドの攻防で圧倒し続け、ゴールも奪った試合だった。当然、今回の対戦でも同じ狙いがあった。

「常に先手をとって金民友選手の攻撃の良さを半減させたり、なくしたりするよう監督から言われていました。金民友選手に嫌なイメージを植え付けられたんじゃないかと思うので、相手が嫌がる選手にこれからもなっていけたら」

 そして、FW豊田陽平との“日本代表FW対決”としてサポーターからも注目を集めていたが、豊田の目の前で2得点という結果を残したことについては、「トヨさん(豊田陽平)と競っているわけではないですし」と周囲の喧噪とは裏腹に冷静な反応。しかし、代表入りについてはアツい思いを口にした。「(日本代表に)選ばれたいという気持ちはあります。(鈴木)大輔のインターセプトから最後は僕が決めたことで大輔の良いアピールにもなったと思います。レイソルから大輔だけとか、僕だけとかじゃなくて、もっとたくさん選ばれるように。そのためにはチームが勝っていくことが一番だと思います」。チームの勝利のため、そしてチームメイトと自身の代表入りのために、背番号「9」はひたすらにゴールを狙い続ける。

(取材・文 奥山典幸)

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