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「次の試合」に切り替えるC大阪FW柿谷「(代表は)イメージしなくても、知っている人ばかり」

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[8.10 J1第20節 大宮0-3C大阪 NACK]

 頭の中にあるのは、目の前の試合だけだ。日本代表に招集され、大きな注目を集めるセレッソ大阪のFW柿谷曜一朗は、10日のアルディージャ大宮戦で2ゴールを挙げる活躍を見せて、チームの3試合ぶりとなる勝利に貢献した。日本代表での活躍を期待する声が高まっているが、この試合に集中していたことを強調する。

「日本代表に選ばれたからどうっていうことは、あまり考えていませんでした。2連敗していたので、チームが絶対に良い方向に行くようにプレーしただけです。ホンマに今日は勝てて良かったですし、連敗脱出にホッとしています」

 前半3分、MF南野拓実のシュートがこぼれたところに反応。右足でGK北野貴之との1対1を制した。同26分にも中盤からMFシンプリシオが入れたロングボールを2CBの間を抜け出し、絶妙なファーストトラップで加速。次のタッチが少し大きくなったが、GKとの1対1を確実に決めている。

「1点目は、早い時間帯に良いところにボールが転がってきました。落ち着いて決められて良かったです。2点目は、狙い通りでした。ホームゲームでも(大宮から)ああいう形でゴールを決めていたので。最後はちょっとGKに近づきすぎましたが、しっかり決めることができて良かったです」

 チームの勝利だけを考えていた。その言葉を象徴するシーンが、ゴール以外にもあった。後半8分、大宮のMFチョ・ヨンチョルに右サイドバックの酒本憲幸が突破された。このままボールを運ばれれば、決定的な場面をつくられてしまう。その状況で最終ラインまでカバーに入ったのが、柿谷だった。最前線から戻った背番号8はチョ・ヨンチョルの突破を阻止し、ピンチの芽を摘んだ。この日の勝利についてレヴィー・クルピ監督も「全員がDFをして、最後までゴールを求める姿勢を貫いた」と高く評価したが、攻撃で決定的な仕事を、守備でも献身的な働きを見せた柿谷が、その中心にいた。

「今日の試合に勝って代表に行きたかったというより、とにかく今日の試合に勝ちたかった。とりあえず、目先のことしか考えられない状況なので」と、柿谷は繰り返す。この試合を終えて、次に控えるのは日本代表の一員として臨むウルグアイ戦になった。試合直後だったが、少しずつ次の試合へ気持ちも切り変えている。

「次はウルグアイ戦なのでね。自分が出るチャンスがあれば、しっかり頑張りたい。(東アジア杯は)周りが自分に合わせてくれたということが大きいので。ただ、(代表でどうプレーしようかと)イメージをしなくても、知っている人ばかりやし。まぁ、でも、自分の良さをアピールすることもそうですけど、ザッケローニ監督のサッカーを頭に叩きこまれているメンバーがいっぱいいると思うので。何か吸収することも大事ですし、何か変化を付けることも大事かもしれません。まずは、韓国に行って少しだけ教えてもらったので、もっともっといろんなことを吸収したいです」

 目の前の試合に集中して、自分のいるべき場所に戻って来た23歳は、そのスタンスのまま、冷静に『次の試合』を見据えた。

(取材・文 河合拓)

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