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3戦ぶり出場で守備にも貢献の横浜FC FW大久保「連敗を抜けるときは、こういうもの」

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[8.18 J2第29節 横浜FC1-0京都 ニッパツ]

 何より結果が欲しかった。7試合未勝利、4連敗中の横浜FCは0-0で迎えた後半12分、今季初めてスタメン出場したFW永井雄一郎に代えて、FW大久保哲哉をピッチに送り出した。J2で日本人最多となる11得点を挙げながら、直近の2試合ではベンチ外になっていた190センチのストライカーは、前線でターゲットとなってボールを収め、京都サンガF.C.に押し込まれるチームの中で、反撃の糸口となった。

 後半36分にはCKを獲得すると、MF高地系治が入れたボールをヘッドで捉える。ボールはクロスバーを叩いたが、この跳ね返りをDFペ・スンジンが押し込み、横浜FCが1点を先制した。試合終盤にはパワープレーで同点ゴールを狙いに来た京都に対し、最終ラインの中央に入ってハイボールを跳ね返し続けた。

 30分強の出場時間で、あらためて存在感を示した大久保は「なんとしても勝たないといけないゲームだったので。最後は苦しかったですけど、力を振り絞って、チーム全体で一丸となって勝ち取った勝利だったと思います」と、7戦ぶりの勝利を喜んだ。

 得点場面についても「自分の角度からは(自分のシュートで)入ったように見えたから、喜んだんですけどね。入ってなかったですか?」と逆取材し、入っていなかったことを確認すると「そこは悔しいですけど、自分のシュートからのゴールだったので、まぁ入って良かったです」と、アシストを受け入れた。

 終盤は追加点を狙いに行くのではなく、最終ラインでロングボールを跳ね返し続けた。「監督からの指示もあって、あの時間帯は。向こうもパワープレーでくることは分かっていたので。あの形のように(自分を)狙ったボールではない方が、競りやすいのはあるので。昨年も(最終ラインに入ったのは)2試合くらいやったかな? その経験が生きました。DFで跳ね返す方が、全然やりやすいです。10倍ラクです。ほぼ全勝ちできるんで」と、空中戦の強さに絶対の自信を示した。

 決して、自分たちの良い部分ばかりを出せた試合ではなかった。それでも大久保は「連敗している中で、勝ち切るとしたら、こういう勝ち方だと思います」と言う。

「内容も完勝だったというゲームで、勝ちのない中で勝てるほどJリーグは甘いリーグじゃないと思う。みんなで1点をもぎとって、それを守りきって、泥まみれになって勝ち点3をつかんで連敗は断ち切れるものだと思うので。それが今日、ホームでできたのは良かったです。最後は見ている人も疲れたと思いますが、チームの想いがすべて詰まった勝利だったと思います」

 昨シーズン、横浜FCは山口素弘監督が就任してからも、しばらくは勝てなかった。それでも9節で京都から初勝利を挙げて、流れを好転させてプレーオフに進出した。今季は残り13試合で、プレーオフ出場の6位との勝ち点差は13。昨季以上に厳しい状況にあるが、ここから昨年以上の『奇跡』を起こせるか。

(取材・文 河合拓)

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