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目前での優勝阻止する決勝弾、川又「得点王はあきらめない」

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[11.30 J1第33節 横浜FM0-2新潟 日産ス]

 迷いなく振り切った一撃が、目の前での優勝を阻止した。0-0で迎えた後半27分、アルビレックス新潟はDF金珍洙の左CKからDF栗原勇蔵がクリアしようとヘディングしたボールがFW川又堅碁の前に落ちてきた。

「うまく合わせられた。普通にコースを狙って、とにかくミートしようと」。右足ダイレクトで振り抜き、ゴールネットを揺らす。これが決勝点となり、横浜FMの今節での優勝決定を阻止した。

「最近、ああいう場面でトラップして、シュートを打ち切れないことが多かった。ダイレクトで打てるところを打てなくて、今日はそこを意識して、いつもどおりに打てた」

 相手は勝てば他会場の結果に関係なく、優勝が決まる状況だった。J1歴代最多となる6万2632人の大観衆が詰めかけ、スタジアムは異様な雰囲気に包まれていた。

「試合の入りはいつもと違う感覚もあったけど、一回自分のプレーをしたあとは普通に戻った。でも、すごい雰囲気は感じた」

 川又、FW田中達也の2トップが前線からハイプレスをかけ、横浜FMに自由を与えない。しかし、スコアレスで折り返した後半は徐々に足が止まり始め、横浜FMに流れが傾きかけていた。劣勢の時間帯でつかんだセットプレーのチャンス。千載一遇の好機を生かした。

「後半は攻められて、結構きつかったけど、みんなが0-0でがんばってくれていた。絶対に決めてやろうと思っていたし、こういう隙のない試合ではセットプレーが肝心になると思っていた。そのイメージどおりになった」

 川又にとっては、このゴールが2試合ぶりとなる今季22得点目。この日、得点ランキングでトップに立つFW大久保嘉人(川崎F)も1ゴールを決め、今季通算26得点となった。4ゴール差で追い、最終節を迎える。今季2度のハットトリックを達成している川又だが、1試合4ゴールはない。それでも、力を込めて言う。

「得点王? そこは目標に置いているし、絶対に取りたい。どんなに得点差があっても、あきらめずにやるだけ」。GK東口順昭も「(川又)堅碁に得点王を取ってもらえるようにみんなでサポートしていきたい」と、チームメイトの思いを代弁する。12月7日、最終節。8連勝中とクラブ記録を更新し続けているホームに名古屋を迎え撃つ。

(取材・文 西山紘平)

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