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ホームでの優勝を逃し…俊輔「今、切り替えるのは無理」

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[11.30 J1第33節 横浜FM0-2新潟 日産ス]

 ホームで優勝を決められなかった。横浜F・マリノスの司令塔MF中村俊輔は、チームが受けたショックの大きさについて「今、切り替えるのは無理だから」と言いながらも、「前節、広島と浦和が味わった1週間を自分らが1週間味わいつつ、最後に向けてどう立て直すかというところじゃない?」と、0-2の敗戦から気持ちを切り替えることの重要性を口にした。

 後半に入ると、横浜FMは新潟を押し込んだ。シュート数では12対4と上回り、CKも8を数えた。後半18分にはCKからDF中澤佑二のヘディングシュートを演出するなど、セットプレーを中心に決定機をつくった中村だったが、チームは最後まで得点できなかった。

「新潟は今までの相手の中では、守備が一番堅かった」と、リーグ後半戦だけの結果を見れば9勝2分4敗とリーグ最高の数字を残していた相手を称賛する中村は、「そう考えると、やっぱり自分のFKが入っていればね……」と、自身がFKのチャンスを決められなかったことを悔しがる。後半22分、中村からのスルーパスを受けたDF小林祐三がゴール正面で倒されて得たFKは、GK東口順昭に弾かれた。「あんな低いところは狙っていないし。もっと上から降る感じで入っていれば、済んでいたことだから」。

 前節、優勝争いを繰り広げていた浦和、広島、鹿島がそろって敗れたことで、横浜FMには最終節を前に優勝を決められるチャンスが転がってきた。だからこそ、中村は悲観し過ぎないことが肝要だと繰り返す。

「僕個人的には、最終節までもつれると思っていた。もちろん、今日決めたかったけど。追われているとか、追い詰められているとか、そういう感じで『優勝しなければいけない』って、自分たちでプレッシャーを与えながらやっていると、やっぱり(良くない)ね。それ(プレッシャー)を受け止めながら、ポジティブにできる。そういう集団に最後なれればいいし、今日負けて、次の試合で勝てば、立て直したというか、得るものが大きい。全然、ネガティブになる必要はないし、今日は単純に新潟が良いサッカーをしていた」

 他会場の結果、横浜FMは3位以内でシーズンを終えることが確定し、来季のAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得した。しかし「優勝することしか頭にないから」と、中村は関心を示さない。むしろ、チームがどう反応するかには興味を持っているようだ。

「優勝することしか頭にないから、今週と次の試合は個人的には面白い。誰がオロオロして、誰が『やっぱり持っているな』ってなるのか。だから、今日、自分が決めていれば……」と、再びFKのチャンスを決められなかったことを悔しがりつつも、「そういうところだと思うし、一人ひとり、反省していると思う。これだけ(観客が)集まって、これだけ期待されて、それを裏切ってしまったと、あまりネガティブにならない方がいい。ホームで優勝できるのが一番だったけど、アウェーでしっかりしたサッカーをもう一回やって勝てば、優勝には変わりないから。もう一回、チャンスがあるのはうちらだけだから。そういうポジティブな気持ちになれるかだと思う」と自分に言い聞かせるように話した。

(取材・文 河合拓)

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