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広島が最終節で逆転V!!史上4クラブ目の連覇達成

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[12.7 J1第34節 鹿島0-2広島 カシマ]

 J1最終節は7日、各地で同時刻にキックオフされ、カシマスタジアムでは3位鹿島アントラーズと2位サンフレッチェ広島が激突した。互いに優勝の可能性を残す2チームの対戦は前半35分、後半35分にMF石原直樹が2ゴールを挙げ、広島が2-0で勝利した。首位・横浜FMが川崎Fに0-1で敗れたため、広島の逆転優勝が決定。J1初制覇の昨季に続く2年連続2度目の優勝で、93、94年のV川崎(現・東京V)、00、01年の鹿島、03、04年の横浜FM、07~09年の鹿島に次ぐ史上4クラブ目の連覇を達成した。

 鹿島は勝って、横浜FMが負けたうえで9差ある得失点差を逆転することが優勝の条件。DF山村和也が出場停止明けで先発に復帰したほか、DF西大伍が7試合ぶり、MF野沢拓也が10試合ぶり、MF中村充孝が11試合ぶりの先発となった。前節・C大阪戦(2-1)で負傷交代したFWジュニーニョ、MF遠藤康はベンチ外。今季限りで退団するDF岩政大樹もベンチスタートだった。
 広島は前節・湘南戦(1-0)と同じ先発メンバー。FW佐藤寿人が1トップを務め、MF高萩洋次郎、石原がシャドーストライカーの位置に入った。連覇のためには自分たちが勝ったうえで、横浜FMが引き分け以下に終わることが条件となる。
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 試合は静かな立ち上がりを見せた。広島は前半2分、高萩の右CKにDF水本裕貴が頭で合わせるが、GK曽ヶ端準が抑える。鹿島も同12分にMF柴崎岳の縦パスを受けた野沢が浮き球のラストパスを送り、FW大迫勇也がヘディングで狙ったが、GK西川周作が正面でキャッチした。

 中盤でのせめぎ合いが続く一進一退の攻防。均衡は突然、破れた。広島は前半35分、相手陣内でMF小笠原満男からボールを奪うと、高萩が右足アウトサイドで絶妙なスルーパス。ゴール前に抜け出した石原は右足でボールを浮かし、前に出てきた曽ヶ端の頭上を抜く鮮やかなループシュートでゴールネットを揺らした。

 石原の4試合ぶり今季9得点目で先制に成功した広島。前半アディショナルタイムには自陣深くでボールをカットしたDF塩谷司がドリブルで駆け上がり、カウンターを仕掛けようというところで後方から大迫に倒された。東城穣主審は大迫にイエローカードを提示。前半27分にすでに繰り返しの違反で警告を受けていた大迫は2枚目のイエローカードで退場となった。まくり上げたユニフォームで顔を覆い、ピッチをあとにするエース。小笠原が東城主審に身振り手振りで猛抗議し、ハーフタイムに入ると、曽ヶ端も審判団に詰め寄ったが、後半の45分間を10人で戦うことになった。

 前半終了時点で首位の横浜FMは川崎Fと0-0の同点。このまま終われば広島の逆転優勝が決まるという展開で運命の後半を迎えた。後半8分には小笠原のバックパスに佐藤が詰め、曽ヶ端と交錯。こぼれ球に石原が反応し、DFともつれてゴール前にこぼれたボールを佐藤が左足で狙ったが、DF青木剛が体を張ってブロックした。

 10人の鹿島もチャンスをつくる。後半10分、野沢のスルーパスに抜け出したMF土居聖真が鋭い切り返しでDF塩谷司を振り切り、ゴール前にクロス。西川がパンチングしたボールを柴崎が右足ダイレクトボレーで狙ったが、MFファン・ソッコの体に当たってゴールラインを割った。小笠原はファンのハンドをアピールしたが、判定はCK。直後の12分、中村に代えてFWダヴィを投入した。

 この時点で横浜FMは後半9分に先制を許していた。広島はこのまま勝てば、横浜FMが2点取って逆転しない限り、優勝が決まる。ピッチ上の選手たちは知る由もなかっただろうが、連覇が大きく近づいて来ていた。後半23分には両チームが同時に動く。鹿島は土居に代えてMF本山雅志を投入。広島は佐藤を下げ、MF野津田岳人をピッチに送った。野津田はシャドーの位置に入り、石原が1トップにポジションを上げた。

 数的優位の広島だが、エースの佐藤がベンチに下がったことで、どこかで勝利、さらには優勝を意識し始めたか、10人の鹿島に押し込まれる時間が続く。それでもFWを含めた選手全員が高い守備意識を保ち、最後のところで体を張って跳ね返した。後半30分にはMFミキッチに代えてMF清水航平を投入。すると同35分、カウンターからファンのミドルシュートがDFに当たったこぼれ球をMF青山敏弘がワンタッチでつなぐ。右サイドを抜け出した清水がゴール前に折り返し、フリーで走り込んだ石原が冷静に右足でゴール右隅に流し込んだ。

 試合を決定づける貴重な追加点は、広島の優勝も決定づけた。後半42分にファンが2枚目の警告で退場し、最後は10人対10人となったが、2点のリードを守り抜く。後半アディショナルタイムには野津田に代えて今季限りでの現役引退を発表したMF中島浩司が入り、優勝の瞬間をピッチで迎えた。試合はそのまま2-0でタイムアップ。直後に横浜FMが敗れたとの一報が伝わり、歓喜の輪が広がった。勝ち点を63に伸ばした広島。川崎Fに0-1で敗れた横浜FMは勝ち点62から伸ばせず、最終節で逆転した広島が2連覇を達成した。

(取材・文 西山紘平)

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