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残酷な結末に泣き崩れた京都GKオ・スンフン、古巣のJ1昇格を「祝福したい」

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[12.8 J1昇格PO決勝 京都0-2徳島 国立]

 ピッチに突っ伏したまま動けなかった。J1昇格をあと一歩のところで逃した京都サンガF.C.のGKオ・スンフンは「今シーズンが終わったなと。いろんな試合をやって、いろんな結果が出た。いろんなことが走馬灯のようによみがえった」と、そのときの心境を語った。

 だれよりも悔しかったはずだ。1日の準決勝・長崎戦(0-0)でビッグセーブを連発し、決勝進出の立役者となった守護神は韓国の湖南大学校から10年に徳島に入団。昨季まで3シーズン所属していた古巣との決勝戦だった。

「3年間、徳島にお世話になって、サポーターの方にも愛されて、それでもJ1でやりたいという夢を持って京都に来た。その決勝の相手が徳島で、J1でやりたいために来たのに負けて……。そのむごさというか、受け止めにくい感情があった」

 前半39分にCKから失点。直後の同43分、徳島はロングフィードをFW高崎寛之が頭でそらし、裏のスペースにFW津田知宏が走り込んだ。オ・スンフンは一瞬、前に出ようか躊躇したように見えた。DF安藤淳が必死に戻ったが、津田が一歩早くシュート。オ・スンフンは反応できなかった。「出たら取れたかもしれないけど、試合中に自分が下した判断に対して後悔はしない。あの判断にも、悔いは残っていない」。自分に言い聞かせるように力説した。

「試合前から相手が徳島ということで、いろいろ考えることがあった。いつもと違うメンタルになった。しっかり準備できず、メンタルをコントロールできずにブレてしまった。まだまだ自分が未熟な選手ということだと思う」

 あまりにも皮肉で、残酷な結末。試合後のピッチで涙にくれたオ・スンフンは「正直に言って、相手の喜んでいる姿は見ていない」と言いながらも、「自分が所属していたチーム。素直に祝福したい」と、気持ちを整理した試合後には古巣のJ1昇格を祝福する言葉も口にしていた。

(取材・文 西山紘平)

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