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豪快ミドルで先制も…大津「セキさんに金メダルをかけてあげたかった」

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[8.7 ロンドン五輪準決勝 日本1-3メキシコ ロンドン]

 ピッチに膝を付き、座り込んだ。だれよりも日本の金メダルを信じてきた男は試合後、しばらく立ち上がれなかった。「セキさん(関塚監督)に金メダルをかけてあげたかった。残念です」。前半12分、豪快なミドルシュートで先制点を決めたFW大津祐樹関塚隆監督のもとへ駆け寄り、熱い抱擁をかわした。しかし、2戦連発となる今大会3点目も勝利には結び付かず。3失点の逆転負けだった。

「金メダルを目指すことはできなくなったけど、今まで応援してきてくれた人たちのためにも銅メダルを取りたい。個人としてもチームとしてもメダルを取ることはプラスになる」

 ミックスゾーンに姿を見せた大津はしっかりと胸を張って言った。中2日で迎える10日の3位決定戦。「プロですから。切り替えないといけない。それができない選手には試合に出る資格がない。僕らのチームに切り替えられない選手は一人もいないと思う。そこに不安はない」と力説した。

 ミックスゾーンで大津が報道陣に対応していると、ポータプルプレーヤーにスピーカーを付け、大音量の音楽を流しながらメキシコ代表の選手が歩いていった。大津の言葉は完全にかき消され、通り過ぎるまで、ただ黙って待った。「僕らは負けたので、何も言えないです」。届かなかった金メダル。あらゆる悔しさを押し殺し、3位決定戦にすべてをぶつける。

(取材・文 西山紘平)

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