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なでしこはアメリカに惜敗で金メダルならずも…初の銀メダル獲得

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[8.9 ロンドン五輪決勝 日本1-2アメリカ ロンドン]

 ロンドン五輪で史上初の決勝進出を果たした日本女子代表(なでしこジャパン)は9日、ロンドンのウェンブリースタジアムでアメリカ女子代表と対戦し、1-2で敗れた。世界一に輝いた昨年の女子W杯決勝の再現となった決勝戦。日本は前半8分、後半9分と失点し、今大会初めて追う展開となると、後半18分にFW大儀見優季の3戦連発弾で1点を返したが、あと一歩及ばず。1-2の惜敗で、前人未到の世界大会連覇はならなかった。金メダル獲得とはならなかったが、史上初の銀メダルを獲得したなでしこジャパン。サッカーの聖地・ウェンブリーに詰めかけた8万203人の大観衆は両チームに惜しみない拍手を送っていた。

 日本は2戦連発中のFW大儀見優季(旧姓・永里)のほか、MF宮間あや、MF澤穂希ら不動のイレブンが先発。準々決勝・ブラジル戦(2-0)、準決勝・フランス戦(2-1)と同じベストメンバーで臨んだ。
 アメリカは5戦連発中のFWワンバックと、準決勝・カナダ戦(4-3)で延長後半ロスタイムに劇的な決勝点を決めたFWモーガンの2トップ。ここまで5試合で14得点を量産している強力な攻撃陣が並んだ。
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 立ち上がりはシンプルに2トップを生かす攻撃でアメリカが日本を押し込んだ。前半3分、ワンバックが競ったこぼれ球をDF熊谷紗希がクリアミス。モーガンが素早く奪うと、熊谷をかわしてPA内に切れ込み、左足でシュートを狙った。同4分にもワンバックが左足ミドル。いずれもGKの正面を突き、難を逃れたが、同6分には宮間のパスミスからピンチを招くなど劣勢が続いた。

 すると前半8分、アメリカが先制に成功する。MFヒースが左サイドから折り返したボールをPA内左のモーガンがキープ。左足でゴール前にクロスボールを入れると、ファーサイドでキックモーションに入ったワンバックの手前にボランチのMFロイドが飛び込み、ヘディングで押し込んだ。いきなりの先制点。日本は今大会初めて追いかける展開となった。

 なかなかパスがかみ合わず、攻撃の糸口をつかめずにいた日本だが、前半17分、右サイドから細かくつなぎ、澤からMF川澄奈穂美にスルーパスが通る。PA内左に抜け出した川澄は左足で狙ったが、ゴール前でDFランポーンがクリア。こぼれ球に大儀見が詰めるも、ゴールはならなかった。

 直後の前半18分にもカウンターから川澄が左サイドを抜け出し、アーリークロス。しかし、大儀見のヘディングシュートはGKソロの手を弾いてクロスバーを直撃した。同26分にはPA左でFKを獲得。宮間のキックは壁に入っていたヒースの手に当たったように見えたが、主審はハンドの反則を取らなかった。

 アメリカは前半28分、右SBのルペルベットがアーリークロスを送ると、DF岩清水梓が戻りながらクリアしたボールがポストを直撃。あわやオウンゴールという場面だった。逆に同33分には川澄の左クロスからFW大野忍がPA内でボールキープ。マイナスに戻したところに後方から走り込んだ宮間が左足で合わせたが、シュートはクロスバーに弾かれ、今度は惜しくも得点とならなかった。

 必死の反撃を見せる日本だが、あと一歩のところで同点ゴールが遠い。前半37分、ゴール前のセカンドボールを大儀見が落とし、大野が右足を振り抜くが、わずかにゴール右へ外れた。

 終盤は再びアメリカの攻勢。前半42分、ロイドがドリブルで中央突破を仕掛け、MF阪口夢穂、さらには澤をかわしてミドルシュートを狙う。同44分にはGK福元美穂からDF鮫島彩へのパスがミスとなり、ワンバックがカット。MFボックスのミドルシュートはゴール上に外れたが、ヒヤリとする場面だった。前半終了のホイッスルが鳴ると、佐々木則夫監督はピッチ内に入って福元、鮫島に激しくゲキを飛ばしていた。

 1点ビハインドのまま折り返した後半の立ち上がりは日本の時間が続き、何度もアメリカ陣内に攻め込んだ。しかし、最後のところでパスが合わず、アメリカの粘り強いディフェンスもあり、跳ね返され続けた。すると、アメリカはカウンターから追加点を狙い、少ないチャンスを生かす。後半9分、ロイドが中央をドリブルで駆け上がり、PA手前から右足を一閃。ゴール左隅に突き刺し、2-0とリードを広げた。

 2点ビハインドとなった日本は後半14分、阪口に代えてMF田中明日菜を投入し、最初のカードを切る。すると同18分、なでしこが執念で1点を返した。宮間からの絶妙なスルーパスに大野が抜け出し、マイナスのクロス。澤のシュートは一度はDFランポーンに止められたが、クリアが弱くなり、澤が詰めると、ゴール前にこぼれたボールを大儀見が押し込んだ。

 大儀見の3戦連発となるゴールで1点差に追い上げた日本は勢い付き、一気に同点ゴールを目指す。後半32分には鮫島に代えてFW岩渕真奈を投入。岩渕は中盤の左サイドに入り、川澄が左SBに下がる攻撃的布陣にシフトした。アメリカは後半35分、CBのDFビューラーが負傷交代するアクシデント。たたみかけたい日本はどう38分、岩渕が最終ラインにプレッシャーをかけ、DFランポーンからボールを奪う。そのままPA内に持ち込み、右足を振り抜いたが、惜しくもGKソロの好セーブに阻まれた。

 日本は後半41分、大野に代えてFW丸山桂里奈を投入し、最後のカードを切った。あと1点。必死の反撃を見せるなでしこだったが、アメリカの堅い守備をあと一歩のところでこじ開けられなかった。ロスタイム2分でも追いつくことはできず、1-2で敗れた。アメリカは五輪3連覇。3大会連続4度目の金メダル獲得となった。

(取材・文 西山紘平)

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