beacon

日本vsフランス 試合後のザッケローニ監督会見要旨

このエントリーをはてなブックマークに追加
[10.12 国際親善試合 日本1-0フランス サンドニ]

 欧州遠征中の日本代表は現地時間12日夜(日本時間13日未明)、フランス・パリ郊外のスタッド・ドゥ・フランス(サンドニ)でフランス代表と対戦した。過去1分4敗(PK負けは引き分け扱い)と勝ったことのないフランスとの敵地での一戦。日本は0-0のまま守備陣が粘ると、後半43分にFW香川真司が劇的な決勝点を奪い、1-0で競り勝った。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―今日の結果で自信を得たか?
「当然、結果が付いてくれば自信につながる。W杯に向けて長いスパンで成長していき、いい状態で臨みたい。現時点ではまだまだ成長しないといけないと思っている。今日は特に後半が良かったと思っている。日本らしいプレーができていた。足元にボールを出すのではなく、スペースにボールを動かし、ダイナミズムを出すという動きが出てからは、相手と同じくらいチャンスをつくれていた。
 前半はフランスが良かった。私が望んでいたような入り方ができなかった。サイドが薄く、フィジカルで押し込まれ、多くのリスタートを取られた。しかし、相手が押し込んでくる状況でも相手ゴールの近くで仕掛けないといけないし、裏を意識した動きで相手の重心を低くするような戦い方をしなければならなかった。後半はそのあたりが良くなったし、バランスの取れたゲームになった。最終的にうちがゴールを決めたが、チャンスの数は同じくらいだったと思う」

―イタリアのサッカーはイメージが変わってきていると話していたが、今日の試合はしっかり守ってカウンターで得点するというクラシカルなイタリアサッカーだったのでは? また、デシャン監督が日本で危険な選手は長友だったと話していたが?
「世界的に知られているイタリアのサッカーとは、エリア内に7、8人かけて守るスタイル。うちはそれをしたわけでない。前半は押し込まれ、シャイなところがあったが、その中でも右サイドはつくれていた。左サイドはそれほどうまくいかなかった。
 前線の3枚は、香川、ハーフナー、清武。中盤は中村、長谷部、遠藤という人材がいるが、もともとこの3人はトップ下でプレーしてきた選手。CB2枚はもともとボランチだったし、SBの2人はウイングと呼んでもいい。このチームは受けに回るのではなく、仕掛けることで良さが出てくる。フランスは中盤の真ん中に厚みがあったので、サイドで起点をつくって仕掛けていこうと指示を出した。後半はそれができたと思う。後半の最後は相手が結果を求めてチームのバランスが崩れたところをうまく突くことができた。
 長友がMVPということだが、よくやってくれたと思うが、私は彼だけでなく全員がよくやってくれたという印象を持っている」

―ハーフナーを外して前線に軽い選手を並べたが?
「フランスが結果を求めてバランスを崩しながら来ていたので、そうした交代を考えた。その中でもうちはバランスを取らなければならず、相手がリベリを使ったカウンターの形を持っていたので、どう対応しながら戦うかを考えた。フランスの後ろにスペースができていたので、スピードに特徴のある選手を前に配置した。後半の最後は長友がウイングのようにプレーしていたし、日本は勇気を持ってプレーしていた。乾も非常に良かったし、前線の素早い選手たちの背後に遠藤を置くことで、視野が広い3人をうまく使うことができた」

―前半、ピッチに足を取られていたことが押し込まれた原因か?
「ピッチコンディションはそれほど影響していない。入り方でシャイ過ぎたのが原因だった。酒井や長谷部はチームで試合に出ていない。最初から出たのは今シーズン初めてだったかもしれない。入り方のところで解決しないといけない課題はある。アウェーの戦いで、最初からホームのような入り方は難しい。攻撃と守備があってのサッカーだが、このチームは攻撃に大きな特徴があるので、より攻撃的にいくのがチームとしての理想だと思う」

―左サイドは長友と香川がいたのに、なぜうまく機能しなかったのか?
「足元ではなく、スペースにボールを出す動きやパス&ムーブでダイナミズムが生まれる。その意味で右の方が良かった。左の長友と香川のサイドが良くなかった理由は、動きがなく、止まってしまうことが多かったからだと思う。うちの左サイド、フランスの右サイドにスペースがあったので、そこを仕掛けてほしかった。後半、日本が良くなった理由は左の動きが出てきたからだと思う。乾が入ってからも継続して前への意識はあった」

―この勝利はどれくらい大切か? 長友はインテルで中盤でプレーし、監督からは攻撃も守備もしてほしいとリクエストされているが?
「こうした欧州の舞台で勝利することは注目度も高いのは分かっている。だが、注目度の高さより、日本代表として結果を出すことが大事だ。
 長友については、攻守ともにやってほしいと思っている。彼の特徴は攻撃にあるが、守備でもよくやっている。ベンゼマやリベリが入って来ても、よくやってくれたと思う。インテルでは中盤でより攻撃的なプレーをしているが、個人的には後ろから出て行ってほしいと思っている」

―フランス戦初勝利は歴史的だが、1試合に勝っただけという側面もあるが?
「当然、1試合だけを見れば、何が起こってもおかしくない。チームの成長という部分を見ないといけない。このチームは得点をしない試合を見つけることの方が難しいと思うし、得点力の部分でも伸びてきている。同時に失点も少ない。その意味ではチームとしてのバランスが出てきたと思う。これまでほとんどの戦いがアジアだったので、今回のように世界の強豪と戦うことで自分たちがどこにいるのかを確認したかった。火曜日にも、もう一つの強豪と対戦するが、またそこでも確認したい。我々はアジアでは常に主導権を握るし、ほとんどの対戦相手が自陣に引いて守る戦い方を採用する。その中で協会に対してこういった強豪との試合を組んでほしいとリクエストし、実際に素晴らしいマッチメイクをしてくれた。こういう相手は、自陣に引くような戦いはない」

(取材・文 西山紘平)

TOP