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「勇気とバランス」でゴールという結果を残した工藤

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[7.21 東アジア杯 日本3-3中国 ソウル]

 チームの3点目となるゴールを決めたのは後半15分だった。右サイドからPA内に侵入したFW工藤壮人(柏)はFW柿谷曜一朗(C大阪)のパスを受け、GKと1対1になりながら冷静に右足を合わせた。FW原口元気(浦和)がDFを引きつけており、フリーの状態になっていた。

「グラウンドが悪かったので、まずはしっかりとボールをとらえることを考えた。GKが少し近かったけど、どうにか自分の形に持っていけた。入って良かったですね」

 代表初出場初ゴールは26人目の柿谷に続き、史上27人目だ。

「カキくんが粘ってくれましたし、個人的にもあのポジションでできるだけPAの中に入って仕事をしたいという気持ちでいたので、PAの中でゴールを決められたこと、結果を残せたというのは非常に良かった」。そう言って胸を張った。

 5月にW杯アジア最終予選を控えた日本代表合宿に初招集され、ブルガリアとの親善試合ではベンチに入ったが、欧州組が戻ってきたオーストラリア戦ではベンチ外。その翌日に発表されたコンフェデレーションズ杯のメンバーリストに工藤の名はなかった。

 国内組にとって“ラストチャンス”とも言える今回は、「チームのコンセプトを理解した中で結果を残すという考えでアピールしに来た」と言う。最終的には2点のリードを守れずに3-3の引き分けに終わったが、「チームは勝つことができなかったですが、最低限のゴールという形は見せられたかなと思います」と、守備のコンセプトも理解したうえでアピールできたという手応えを感じ取っているようだ。

 持ち味は相手に捉えられにくい変幻な動きと、ゴール前で見せる泥臭いプレー。加えてザックジャパン特有の守備のコンセプト取得への意欲も旺盛で、試合前日の20日の練習では自ら指揮官に質問をしにいく姿もあった。

「サイドの守備は監督にも聞きに行ったところでしたし、そこはしっかりコンセプトを守ろうと思っていました。経験の多い(同サイドの)コマさん(駒野)にいろいろと聞いて吸収していきたいと思っています」と言う。

 代表デビュー戦でゴールという結果を出したことで個人として好スタートを切ったが、今後さらにアピールしていくためには何が必要か。

「一番は目に見える結果。そこをしっかりやらないといけないと思いますが、やはりチームの規律をしっかり守りつつ、守備でもしっかりハードワークをして自分の良さを出していくことが大切」

 ザッケローニ監督の言う「勇気とバランス」を見せた背番号9。柿谷だけではない、新たな下克上候補がここにもいる。

(取材・文 矢内由美子)

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