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日本vs韓国 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[7.28 東アジア杯 日本2-1韓国 蚕室]

 日本代表は28日、韓国・ソウルの蚕室(チャムシル)総合運動場で韓国代表と対戦し、FW柿谷曜一朗の2ゴールで2-1で競り勝った。日本は2勝1分の勝ち点7に伸ばし、東アジア杯初制覇を決めた。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―今大会で対戦した3チームについて。
「初戦は常に厳しい。新しいメンバーで初めて戦うという難しさもあった。3試合を通してマネジメントが難しかったのは、この気候。湿度が高い中で90分間プレーし続けるのは難しかった。大会全体で言うと、引き分けが多い中で最終的に今日の2試合はいずれも勝負が付いた。4チームは大会に入る前は不慣れな部分もあったが、徐々に慣れてきてこのような結果になったのだと思う。

 中国は、大会を通じて最も波が少ないチームだったと思う。オーストラリアは初戦の韓国戦でチーム力とフィジカルの力を見せ、いい結果(0-0)を残した。我々がリードしている時間帯に集中力を欠いたところもあったが、こちらの隙を見逃すことなく、すぐに同点に追いついた。韓国は大会を通じて3試合ともいい内容で戦っていたが、結果が伴わなかった。特に1試合目と今日の試合は非常にいい内容で、私自身、韓国の戦い方は気に入っている。ダイナミズムなサッカーを展開する中、1試合目で結果が付いてこなかったことが、大会全体の結果に影響したのではないかと思う。今日の試合も特に前半は非常に良かったと思うし、後半はその分、ペースが落ちた。そこでチームとしてのバランスが崩れたのではないかと思うが、韓国は(優勝のためには)勝ちしかなかったので、そのチョイスも理解できる。

 今大会は各チームに収穫があったと思う。特に日本と韓国は多くの選手を試合に使うことができた。有意義な大会になったのではないかと思う。個人的には選手たちのパフォーマンスには満足している。このメンバーの中には自分が代表チームに呼ばれるとは考えていなかった選手もいたかもしれないが、チームとして団結してくれた。戦い方に波があったが、我々が最も得点したという事実は揺るがないし、チームとして結束してくれた。

 選手たちの出来が良かったのは個人的にもうれしいことで、このメンバーからすぐに代表に呼ばれる選手もいるだろうし、将来的に代表に入る選手もいると思う。今回呼んだ23人は『代表候補』という意識でいいと思う。日本サッカー界にとっても、これだけいい選手が国内にいることを証明できたと思う。日本の良さとしてチームワークが挙げられると思うし、このメンバーが各チームで高い意識を持って活躍してくれることを祈っている」

―新しい選手が多くてもたくさんの得点を取ることができたのはなぜか?
「いい質問だ(笑)。ここ3年間でかなりのゴールを挙げている。このチームの哲学やメッセージを選手が受け止めてくれたからだと思う。哲学というのは、勝利のためにより多くのゴールを決めること。相手より1点でも多くゴールを決めることで勝利に近づく。4-3や3-2というように、相手より多く点を取るという哲学をこのチームは持っている。多くのゴールを狙うと、それだけ相手に突け入る隙を与えることになるが、その姿勢がこのチームには必要だ。あとはピッチ上の選手の特徴を見てくれれれば分かると思うが、攻撃の得意な選手を多く配置している。攻撃的なSBを配置し、攻撃力のあるボランチを使うなど、他のチームではあまり見られないことをやっている」

―前回戦った韓国と今回の違いは?
「共通して言えるのは、気迫を持って攻めてくること。チーム全体で集中して襲いかかってくること。これまでと少し違うのは、以前はもう少し中盤でつなぐ意識があった。今日のように裏への意識というのはあまりなかったと思う。(韓国戦は)4試合目だが、共通しているのは、難しく、いいゲームになるということ。さすがはW杯に参加するチーム同士の対戦だと思った」

―優勝の感想は?
「純粋にうれしい。将来のことを考えるとポジティブな結果だと思う。このメンバーには現地点で代表に呼べる選手もいるし、他にも将来的に代表に入ってくる選手がいる。当然、これから国際経験を積む必要があるが、個人の能力を見極めて、非常にいいものがあると思った。素晴らしいのは、数日間でチームがつくれたこと。日本の選手の能力は素晴らしい。10日間あって3試合という強行スケジュールだったが、その間にリカバーして、ほぼ1回の練習で試合という流れだったが、その限られた時間の中で監督からのメッセージを見事に受け取って体現してくれた」

―予想以上に適応力だったか?
「想定以上だったが、能力があることは分かっていた。今回、招集できなかった選手で、能力のある選手も国内にはいる。これだけ短期間でできるのは頭がいい証拠だと思う。与えられたチャンスを貪欲に感じ取ってくれた。A代表が難なくW杯予選を突破して、いい状態にある中で、この大会があった。彼らはそこにチャンスがあると感じ、食い込んでいこうという貪欲な気持ちを出してくれた。

 これまでA代表でメンバーが欠けても動じることはなかったし、チョイスは豊富にあったが、唯一不安があったのは同じポジションに多くの負傷者が出てしまうことだった。3年間を振り返っても、本田や長友、吉田、香川が予選でいないこともあった。その中でもしっかり予選を勝ち抜けたことは忘れてはならない事実だ。その意味では選択肢はあるなと感じている。当然、選手の特長は違うし、そこはアジャストしないといけないが、選択肢は増えたなと思う。今回のメンバーがここで満足することなく、Jリーグに戻って、各クラブで意識を高く持ってやることが大切。A代表のメンバーに疑問があった場合には、いつでも入って来れる姿勢を見せてほしい。この代表チームの特長として、多くの選手が得点するということがある。点を取れる選手の選択肢があるのは素晴らしいことだと思う」

―補強すべきポジションに答えは見つかったか?
「まず現在の基盤のチームでもW杯でいい戦いができると確信している。W杯に行くことが心配なのではなく、どんな状態で行くことができるか。全員が最高のパフォーマンスで大会に合わせることができれば、自分たちの力を証明することができると思っている。2013年の後半に入るが、国際舞台の経験をさらに与えていきたい。協会も意図をくみ取ってくれて、いいマッチメイクを検討してくれている。8月にはまずウルグアイと対戦する。もちろん協会も大変だと思う。強豪チームはどこもW杯予選で忙しい。スケジュールをぬって試合をやってくれるところを探すのは簡単な作業ではない。このチームに足りないのは国際レベルの経験。それ以外はいいレベルにあるし、あとはいいコンディションで臨むこと。そこさえ合ってくれば、W杯でもいい戦いができると思う。よかった試合、時間帯というのは頭の中に鮮明にある。そのイメージがあれば世界でも通用する。経験だけが懸念されるが、自分が一番、このチームを信頼しているし、このチームが世界で活躍しているところを想像できていると思う」

―中国戦のメンバーに戻した意図は?
「理由はシンプルで、エネルギーが体内に残っている選手を出すべきだと思った。試合の中でいくつか見極めたいこと、試したいことはあったが、疲れの影響で交代枠を一つ使った。そこで計算がズレた。交代枠が3つしかないのは残念だし、もし4試合あれば、オーストラリア戦に出たメンバーももう一回見たかった。残念なのは林卓人を使えなかったことで、全員使いたかったが、やはり西川が2試合やるべきかなと思って決断した。彼も代表候補だし、仙台に行ったときにはしっかり見ていきたい。偶然、呼んだわけではないことを伝えておきたい」

―守備面の評価は?
「前の2試合よりも集中していたと思う。押し込まれて、中盤のラインが吸収されたが、自分たちの問題というより、相手をほめないといけない。韓国は前半、計算することなく、持っているエネルギーをすべて使って攻めてきた。押し込まれてもしょうがない部分もあった。ただ、守るだけというのは好きではない。守りながらどう攻めるかを常に考えていた。一つ言えるのは、韓国が押し込んできて、プレッシャーをかけてきたが、それほど決定的なチャンスはつくられなかった。DFはよくやっていたと思う」


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