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先発フル出場でアピールに成功した山口

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[11.16 国際親善試合 日本2-2オランダ ゲンク]

 MF長谷部誠とMF遠藤保仁が牙城を築いてきたボランチに、新たな力が台頭してきたことを印象づけた。

 MF山口螢(C大阪)が東アジア杯以降で初めて先発し、90分間フル出場。前半は長谷部、後半は遠藤とコンビを組み、それぞれ異なったタイプのプレイヤーと違和感のないコンビネーションを見せた。

 前半こそ「(欧州組が入ったチームで)初めて先発だったので若干緊張していた」と言うようにプレーは硬く、11分にはミスパスを奪われてシュートを打たれる場面も。それでも時間が経つごとに徐々に雰囲気に慣れると、ボールタッチを増やしながらリズムをつかんでいった。

 長谷部と遠藤の特徴に合わせたプレーもそつなくこなした。

「ハセさん(長谷部)は結構前に出て行くので、自分もバランスを取っていることが多かったが、ヤットさん(遠藤)は、基本は真ん中でパスを受けて散らすタイプ。だから、より自分も前へ出て行ったほうがチャンスになると思い、前へ行った」

 ハーフタイムにFW香川真司から「ボランチが上がってくるとチャンスになる」と言われたことにもすぐに反応した。「それを聞いて、より上がっていこうと思った」と、ゴール前に進入するプレーを織り交ぜると、相手DFは一層の混乱に陥った。

 10月の東欧遠征。ベラルーシ戦の後半途中からピッチに立った山口は、足元でつなごうとする攻撃陣を見て窮屈に感じていたという。今回はチームとしてそれを反省。「裏を取るという意識を全員が持つようになっているのかなと思う。足元だけでは中を固められたときに崩すのが難しかったが、裏を狙うことで攻撃の幅も出た」と、チーム全体の意識変革による修正にも手応えを感じ取っている。

 欧州組が入ったチームで初めて90分出場し、「次のステップに向かって行くにはすごく大きなステップだったと思う」と話す23歳は「自分は他の選手に合わせないと生き残っていけない選手だと思うが、これからはもっと自分の良さも出していきたい」と力強く前を向いた。

(取材・文 矢内由美子)

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