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7試合ぶりゴールに安堵も満足もしない柿谷「努力していくだけ」

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[11.19 国際親善試合 日本3-2ベルギー ブリュッセル]

 7試合ぶりゴールの瞬間に思ったのは「追いついて良かった」ということだけだった。

 1点を追う前半38分、DF酒井宏樹からの右クロスをヘッドでゴールに流し込んだFW柿谷曜一朗(C大阪)は、チームメイトから「やっと取れたな」という声をかけられて笑顔を見せながらも、「ホッとはしなかった。長い間、結果を残せなかったから」とすぐに戦闘モードへ再突入した。

 すると、MF本田圭佑のゴールで2-1と逆転に成功して迎えた後半18分、今度はゴール前で絶妙なワンタッチのループパスを出し、FW岡崎慎司のチーム3点目をアシスト。W杯第1シードのベルギーを相手に、“日本の才能”を見せつけた63分間のプレーだった。

 国内組だけで戦った東アジア杯で2試合3得点の大活躍を見せてチームを優勝に導くと、欧州組と合流した8月のウルグアイ戦以降はレギュラーに定着した。裏に飛び出すスピードとハイレベルな足元を併せ持った待望の新星は、本田、MF香川真司ら2列目のタレント軍団のリズムにも早々となじみ、とりわけ本田からは「すべてを兼ね備えた1トップ」と礼賛された。

 だが、ゴールが遠かった。「FWなので得点は常に意識している」という意気込みと裏腹に結果が出ない。東アジア杯の韓国戦を最後にゴールから遠ざかると、10月の東欧遠征ではチーム全体でも2試合無得点で2連敗を喫し、日本代表を取り巻くムードが厳しくなった。

 1トップとして責任を感じていた柿谷の危機感に拍車をかけたのは、16日のオランダ戦。後半に訪れた、2-2を3-2とする決定機でシュートを外してしまい、自分を責めた。「悔しい。コンディションを整えて次は勝つだけです」と話していた思いを、ベルギー戦にぶつけた。だからこそ、胸を張って言ったのは、「2013年最後の試合。勝って終わりたかったので、その試合でゴールできて勝てたのがうれしい」ということだった。

「東アジア杯から始まり、優勝したり。海外でやってうまくいかなかったり」と怒濤の5か月間を振り返った柿谷は「全部が自分のためになると思う。成長するために一つひとつ出た課題を、チームに帰ってやりたい。もっと努力していくだけ」とさらなる前進を誓った。

(取材・文 矢内由美子)

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