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[クラブW杯] 指揮官の采配に驚いたMFミケル「ショッキングだった」

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[12.13 クラブW杯準決勝 モンテレイ1-3チェルシー 横浜]

 スターティングメンバーが発表された際、MFジョン・オビ・ミケルは耳を疑ったという。「練習でもやっていなかったからね。『本当か?』っていう感じでショッキングだったよ」と、ナイジェリア代表のアンカーは語る。驚いたのも無理はない。前日会見で「勝つためのチームを組む」と語ったラファエル・ベニテス監督は、大一番でCBが本職のダビド・ルイスをボランチで起用したのだ。

 この采配は当たった。豊富な運動量を見せたダビド・ルイスは、前線でエネルギッシュにプレスを掛けに行き、細かいパス回しが持ち味の相手にボールをうまく扱わせなかった。また、前半4分には低い位置から決定的なスルーパスを通し、MFエデン・アザールの決定機を演出するなど、攻撃面でも高い貢献度を示した。「以前に中盤で起用されたのがいつだったかって? 覚えてないよ。今日が最初っていうことにしてよ」と笑うダビド・ルイスだったが、ボランチでコンビを組んだミケルはヒヤヒヤしていたという。

「バランスを取るのに大変だったよ(笑)。試合前に『立ち上がりは慎重にプレーしよう』とダビドと話していたんだ。それなのに、キックオフした瞬間、気付いたら一気に前の方に行っていたからね、あれには焦ったよ(笑)。ダビドのボランチは今後もオプションになるか? ……それは、どうだろうね。でも、今日の彼のプレーはとても良かったと思うよ」と、試合後はミケルも笑顔で語った。

 ダビド・ルイスのボランチ起用について、ベニテス監督は「CBのときから、良いプレーをすることは分かっていた。今日の相手はラインの間をうまく使ってくるチームだった。そこにアグレッシブに、素早くプレスを掛けられる選手がダビドだった。彼はボールを奪ってからも素早くパスを回していたし、今後もオプションとして使えると思う」と、満足げに振り返った。

 味方をも驚かせた指揮官の采配もあり、チェルシーは3-1の勝利をつかみ取り、決勝に駒を進めた。だが、チェルシーのファンは、リバプールで指揮をとっていた時の印象が強いベニテス新監督を歓迎していない。その点についてミケルは「ファンは、自分たちの考えを言う権利がある。お金を払って見に来てくれているんだからね。ファンがクラブをつくるんだ。でも、彼らはチームの成功を見たいし、僕らも成功したい。そのために全力を尽くす。僕たちは自分たちのやることに集中して、新しい監督が来たら彼の求めることをやっていくだけだよ」と、選手たちの役割は変わらないと語り、「決勝に勝って、ロンドンにトロフィーを持ち帰りたいね」と、世界一への意欲を見せた。

(取材・文 河合拓)

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