[12.13 クラブW杯準決勝 モンテレイ1-3チェルシー 横浜]

　水を得た魚、というのは大げさだろうか。中盤の底に入ったダビド・ルイスは、前半4分に最終ラインの裏をとったMFエデン・アザールにスルーパスを送るなど、攻撃面で積極的なプレーを見せた。英国人記者によれば、ダビド・ルイスは守備面で軽さが出ることもあるため、ボランチで起用するべきだという声が、以前から挙がっていたという。クラブW杯の準決勝という舞台で、ラフェル・ベニテス監督は、そのオプションを試したが、この試合に関しては奏功したと言えるだろう。

　初めてダビド・ルイスとドイス・ボランチを組んだMFジョン・オビ・ミケルは、「練習でもやったことがなかったから、ショッキングだった」と、驚いたことを明かした。だが、UEFAチャンピオンズリーグのノアシェラン戦(6-1)の終盤に、この位置でプレーしていたダビド・ルイス自身は「プレーを楽しめた」と振り返る。だが、それは決して、中盤だからということが理由ではないようだ。

「前の試合よりも、楽しめたね。でも、チェルシーのためにプレーすることを楽しんでいるんだ。MFだろうが、CBだろうが、それ以外のポジションであっても、このユニフォームを着て、チェルシーのためにプレーできる限り、僕は楽しめるよ。だって、このクラブを愛しているし、このクラブのためにプレーすることが喜びだからね。スタメンで出ることができれば、ポジションがどこであっても嬉しいよ」

　蔚山現代(韓国)を相手に3-1で勝利した準々決勝に比べると、この日のモンタレイのプレーは控えめだったのではないか。そう指摘されたダビド・ルイスは「この大会に出てくるチームは偉大なチームだ。でも、チームには好不調がある」と言い、決勝で対戦するコリンチャンス(ブラジル)を警戒した。

「決勝でコリンチャンスが最高の状態で臨んでくるかもしれない。僕はコリンチャンスを長く見て来たし、彼らが素晴らしいチームだと知っている。もしかしたら、本当に、本当に良いプレーを仕掛けてくるかもしれない。僕らも良い準備をしないといけない。展開がどうなるか?　それは始まってみないとわからないよ」

　大会前から「コリンチャンスと決勝で対戦することが夢だ」と語っていたダビド・ルイス。彼の夢は、実現することになった。次はクラブ世界一になるという夢を叶える番だ。「僕の家族、親せきはみんなロンドンで生活をしている。欧州CLを優勝したときも喜んでくれたけど、今回も優勝して、メダルを持ち帰ることができたら、同じように喜んでくれるだろうね」。

　決勝では、この日と同じように中盤で出場するのか。それともCBで出場するのか。一つだけ確かなことは、ポジションがどこであれ、ダビド・ルイスが愛するクラブ、家族のために、全力で戦うことだ。

(取材・文　河合拓)

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