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鮮烈ミドルを含む2ゴールの川崎F大久保「浦和が自滅した」

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[9.7 ナビスコ杯準決勝第1戦 川崎F3-2浦和 等々力]

 一振りで試合の流れを一変させた。1点を追う後半34分、中盤でボールを持った川崎フロンターレのFW大久保嘉人は右足を振り抜く。強烈なシュートは浦和レッズのGK山岸範宏が懸命に伸ばした手の先を抜けて、ゴールに突き刺さった。「ブレていた。あれを止めるのは厳しい」と山岸がうなれば、DF坪井慶介もミックスゾーンで大久保を見つけるなり、「なんなの、あのシュートは!!」と言い寄った。

 相手にダメージを与えると同時に、味方を後押しした。「後ろから見ていても、勇気づけられました」とMF田中裕介が言えば、MF中村憲剛も「相手があのゴールで『ヤバイ』っていう表情になったからね。あれで『行ける』と思えた」と振り返る。8月24日の新潟戦(1-2)でも、スーパーミドルを決めた大久保自身は「イメージがあった。完璧でしたね。今は蹴ったら入る感じです」と、好調であることを認める。

 0-2というビハインドから、劇的な勝利を収めた。これで浦和戦は公式戦3連勝になった。だが、第2戦に向けて川崎Fが気を緩めることはなさそうだ。浦和に助けられた面があると、大久保は言う。

「0-2にされたときは、『ヤバイ』『今日の浦和は強いな』って思いましたからね。ディフェンスを固めてきて、研究して来たなと感じました。でも、相手はマンマークをしてきていたので、絶対にどこかで足がつると思っていて、実際に(坪井と山田暢久は)足がつった。だから、浦和が自滅した感じです。前半の浦和は完ぺきでしたからね。でも、後半は相手の距離が空いてきたから、ああいうシュートも打てた。向こうの自滅っす」

 それでも、後半35分にMF森谷賢太郎からのアシストを受け、決勝ゴールも挙げた大久保は、この勝利が大きな意味を持つと強調した。「負けていてもおかしくない試合でしたからね。チームにも大きい。あそこから逆転できるっていうのはね。次、天皇杯を挟みますが、その後のリーグ戦にもつながりますね」。

 意外にも、大久保がナビスコ杯の決勝トーナメントを戦っているのは、キャリアで初めてのこと。「とにかく楽しい。プレーしていて、こんなにアイディアが出てくることは今までのキャリアでもなかったからね」と、充実ぶりを繰り返し口にする13番は、自身にとって初となるナビスコ杯決勝の舞台を、しっかりと視界に捉えている。

(取材・文 河合拓)

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