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浦和を称える柏ネルシーニョ監督「サッカー人生で一番難しい相手だった」

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[11.2 ナビスコ杯決勝 浦和0-1柏 国立]

 勝者は、静かに敗者を称えた。2日に行われたナビスコ杯決勝で、浦和レッズに1-0で勝利した柏レイソルネルシーニョ監督は、試合について「両チームとも、すべてを出して戦い、拮抗したゲームでした。レイソルは、個人の気迫、チームの戦術で、つらい時間が長かったですが、崩れることなく個々が対応してくれました。その結果、こういう結果に収まったのだと思います」と、総括した。

 キャプテンのMF大谷秀和、DF橋本和を出場停止で欠き、ケガ人も数多く満身創痍のチームに、ネルシーニョ監督は「前半から、守備からのカウンター」という戦い方を徹底させた。その狙い通りに、前半ロスタイムにはFW工藤壮人がDF藤田優人からのクロスでゴールを決めると、この1点を守り抜いた。

 このプランを授けたことだけではない。藤田が「監督のアドバイスを受けて、クロスを練習してきた」と言えば、MF栗澤僚一も「誰が出ても変わらずに戦えるのは、監督のおかげ」と話す。2010年のJ2優勝を皮切りに、2011年のJ1優勝、2012年の天皇杯制覇と、タイトルを重ねていく常勝軍団と変貌しつつあるのも、このブラジル人監督によるところが大きい。

「後半の速攻など、フィニッシュの精度については、まだ改善するところはある」と、自分の選手たちには、さらに高い要求をするネルシーニョ監督だが、この日の対戦相手であった浦和に賛辞を送った。

「決勝の後は、勝ったチームがどうしても目立ってしまいます。しかし、今日のペトロヴィッチ監督が率いる浦和は、私のサッカー人生の中で一番難しい相手でした。戦術も、リーグ内での個人の質も高く、整理されたサッカーができていました。彼の監督としての才能は非常に素晴らしいと私は思いますし、彼のような才能ある者と一緒に、日本サッカー界で仕事ができていることを、誇りに思います」。

 記者会見の質疑応答が終わったあと、ネルシーニョ監督は自分から切り出すと、最後に「アリガトウ」と挨拶し、万雷の拍手の中、記者会見場を後にした。

(取材・文 河合拓)
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