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[高校MOM216]中京大中京FW宮市亮(新3年)_重馬場関係なしの“尾張の快足”

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[3.21 大垣市長杯 中京大中京高 5-0 奈良育英高]

 ぬかるんだピッチでも、中京大中京高(愛知)の日本高校選抜FW宮市亮(新3年)にはまったく関係なかった。立ち上がりから快足を飛ばし、DFを置き去りにするシーンを何度も披露した。

 今年の彼のポジションは3トップのセンター。この試合でトップ下に入ったルーキーの藤橋弘貴とのコンビは、今年のチームの核となることを実証した。テクニックとパスセンスを併せ持つ藤橋に対し、宮市は藤橋の視野に入るように、抜群なポジショニングで、DFライン付近で飛び出すタイミングを探り続けた。

 昨年まではドリブルで長い距離を疾走することが多かったが、この試合ではドリブルの頻度を減らし、裏への飛び出しと、ドリブルのバランスを考えながら、よりインテリジェンス溢れるプレーを披露。圧巻は19分、背後から来た浮き球のボールを、体をゴールに向けながら、右足のアウトサイドで1タッチで前に出し、そのまま加速。ダートの重馬場を物ともしないサラブレッドのように、猛然とゴールに突き進み、3点目をたたき出した。

 その後も藤橋のスルーパスから幾度となくGKと1対1になるが、シュートが枠を捉えられない。これらが決まっていたら、この試合で何ゴール決めていたのだろうというほど、宮市のアタックに奈良育英の守備陣はついていけていなかった。

「2点は取りましたが、まだまだ反省するところは多い。もっと工夫しないといけない」。60分に自身2点目を決め、大勝に貢献したが、試合後に口から出たのは反省の弁ばかり。ただシュートの精度は確かに課題であるものの、劣悪なピッチコンディションでの安定したプレーは、彼の能力の高さを実証するのに十分であった。今年も“尾張の快足シルフィード”は、全国のDFを震撼させることは間違いなさそうだ。

(取材・文 安藤隆人)

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