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[高校MOM221]横浜FMユースFW小野裕二(3年)_トップ昇格期待のFWが2発

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.11 JFAプリンスリーグ関東1部第1節 横浜FMユース 3-0 湘南ユース 日産フィールド小机]

 今年のユース年代最注目ストライカーがプリンスリーグ開幕戦で2ゴールをたたき出した。まずは前半37分。横浜F・マリノスユースは左サイドからのアーリークロスをMF後藤拓斗が右足ダイレクトでゴール前へ折り返す。これを湘南ユースのCB2人の間に入り込んだエースFW小野裕二が飛び出してきたGKよりも一瞬早く右足でゴールへと押し込んだ。小野は後半35分にも左クロスに素早く反応して頭で2点目。全日本ユース選手権連覇を目指す王者にとって新たなスタートとなる一戦で、勝利の立役者となった。

 昨年の全日本ユース選手権では名古屋U18との決勝でハットトリックを達成するなど初優勝に大きく貢献。同年末には1学年上の世代のU-18日本代表候補合宿メンバーに選出された。個人で打開するドリブルと得点力に評価が集まるが、この日の横浜FMは相手の弱点を突く戦略上においても、守備面においても小野が中心だった。

 相手の前線からのプレッシングにボランチ経由の攻撃が機能していないと見るや、サイドのスペースを徹底して狙った。そして攻撃から守備へ入る切り替えのスピードもチーム一。流れが悪い時間帯にベンチの指示なくても状況を判断して真っ先に実行した。そして最も重要な役割であるゴール前では「いいボールがきたから」と謙遜しながらもしっかりと2発。「さすがだな」と讃えた松橋力蔵監督は「(4月6日までの)ドイツ遠征でも彼は通用していた。SBCカップで(チームの順位は6位だったが)MVP候補にも上がっていたようです。他のどのチームにもいない仕掛けを現地で評価されていたし、(2得点ながらも)得点王にもなりましたから」と開幕5日前まで行われたドイツ遠征でのエースについて明かした。

 海外遠征直後で疲労はあったものの「後ろの人が頑張ってくれるので自分も」と奮起し、期待どおりの活躍を見せた開幕戦。ただし、本人は「まだ決定力が足りない。シュートまで持っていける自信はある。(シュート数は多いが)でも最後決めなかったら意味はない。ここにこだわっていきたい。ドリブルも同じ年代には通用しているけど、サテライトにいくと失う回数も多い。どこでも通用するように、そして常に1試合1得点は取りたい」と誓った。

 来年度のトップチーム昇格が有力視されているが宇佐美貴史(G大阪)ら同世代選手がすでにJの舞台で活躍しているだけに「まだまだですけど(今年中に)トップデビューしたい」という思いも秘めている。今はまず目の前の相手から常にゴールを奪うこと。「今年はゴールを獲ることを意識する」と力をこめるストライカーは、自身のため、そしてチームのためにどれほどの数のゴールを積み重ねるか。

(取材・文 吉田太郎)

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