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[選手権]ミスから自滅の前育、4度目の正直ならず(前橋育英vs鹿児島城西)

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[1.10 第87回全国高校サッカー選手権大会準決勝 前橋育英(群馬)3-5鹿児島城西(鹿児島) 埼玉]

 “4度目の正直”はならなかった。前橋育英(群馬)は鹿児島城西(鹿児島)に3-5の逆転負け。7大会ぶり4回目の準決勝進出で、悲願の決勝進出を狙ったが、またしても4強の壁に阻まれた。山田耕介監督は「(準決勝で)なんで勝てないのか…。何かが足りないから勝てないんだと思う。選手、監督の力が足りないから。何が足りないのか分かれば一番いいけど…」と苦渋の表情だった。

 前半20分までは理想の展開だった。開始1分にCKから先制を許したものの、その後はMF佐藤穣(3年)、MF米田賢生主将(3年)、MF六平光成(3年)、MF中美慶哉(2年)の“黄金のカルテット”が中盤を支配。出足の良いチェックとDFとの挟み込みで、FW大迫勇也(3年)にボールが入る前に鹿児島城西の攻撃をせき止めた。

 攻撃に転じても流動的なパスサッカーで相手を翻弄した。前半3分、細かいパス交換から最後は中美が豪快な右足ミドルを叩き込み同点。同10分には右サイドを突破した中美が中央に折り返し、米田が胸トラップから右足シュートをゴールネットに突き刺した。さらに同14分、DF代田敦資(2年)のロングフィードから最終ラインの乱れを突いたFW皆川佑介(2年)が冷静に左足ループシュートを決めた。

 3-1。鹿児島城西のお株を奪う攻撃力で一気にリードを広げた。だが、ここで「選手に“行ける”というゆるみが現れた」(山田監督)のか、自分たちのミスで再逆転を許してしまう。前半22分、右サイドからの単純なクロスボールに対しDFとGKがお見合いの格好となり、1点差に迫られると、選手は完全に浮き足立った。前半43分に大迫勇に同点ゴールを決められ、ロスタイムにはGK志村智久(2年)がCKのボールをまさかのオウンゴール。2点のリードがあっという間になくなり、1点ビハインドの状況でハーフタイムを迎えることになった。

 結局、後半28分にも5失点目を喫し、3-5。試合終了の瞬間、思わずピッチに座り込んだ米田は「失点はリスタートと自分たちのミスから。もったいないゲーム」と唇をかんだ。

 準々決勝までの4試合を無失点で勝ち抜いてきた前橋育英がまさかの5失点。決して崩されて失点したわけでもなく、これが準決勝という大舞台の怖さなのか。山田監督は「DFが悪い、GKが悪いということではない。ひとつのミスで頭が真っ白になってしまった気がする。強いメンタリティー、切り替える気持ちが必要だと思う」。先発のうち半数を超える6人が2年生という若いイレブン。「これをバネに頑張ってほしい」という米田の言葉を胸に、後輩たちが来年こそ新たな歴史を切り開いてほしい。

<写真>敗戦後、ピッチに座り込んだ前橋育英MF米田
(取材・文 西山紘平)

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