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[大学MOM_4]流通経済大MF柳明基(4年)_“遅れてきた男”

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]

[4.17 第83回関東大学サッカーリーグ1部リーグ第2節 流通経済大 2-1 慶應義塾大 三ツ沢陸上]

 劇的な逆転勝利を飾った流通経済大・中野雄二監督がヒーローに挙げたのは“遅れてきた男”だった。その名は横浜FMユース出身の4年生MF柳明基。下級生時から脚光を浴びていた全日本大学選抜GK林彰洋(4年=流通経済大柏高)らとは違い、昨年まで公式戦の出場はおろか、トップチームで練習することもなかったMFだ。

 だが、この日はそのMFが勝利の立役者となった。中盤の底の位置から好パスを配球し、球際の厳しい守備で後半は慶大のパスワークを消した。「あそこ(慶大の中盤)抑えれば、ウチが有位になると思った。はまったと思う」と柳。指揮官もそのプレーに「一番安定していた」と目を細めた。

 「悔しい気持ちで試合を見ていた」応援席が“定位置”だった昨年までとはもはや違う。卒業まであと1年を切ったところでようやく開花した才能だ。昨年までは3軍でしかプレーする機会がなかったが「あきらめては終わり」と練習を続けてきたことで力を身につけた。そしてけが人が続出したことで得たチャンスを逃さずにものにした。得意のボール捌きは今や、大学3冠(関東リーグ、総理大臣杯、インカレ)を狙う流経大の中盤になくてはならないものになりつつある。Jクラブユース出身とはいえ、“エリート”ではない柳の存在が優勝候補をまたひとつレベルアップさせている。
 「優勝するためにチームに貢献したい」と意気込む柳の個人的な目標は来季のJ入り。横浜FMユースの先輩2人(保崎淳、加藤広樹)がともに今季水戸入りしたことも刺激となった。「4年生ということでもうあとがない。(チャンスをもらったときは)必死でした。(今年結果を残して)プロになりたい」。“応援団の代表”という自覚を持ち「応援してくれる選手のために頑張る」と誓うMFが、タレント軍団・流経大の中で静かに輝きを放ち始めた。

(取材・文 吉田太郎)

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