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[大学MOM_32]流通経済大DF天野健太(2年)_逆転勝ちを演出した高校日本一CB

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.26 関東大学サッカーリーグ1部第15節 流通経済大 2-1 駒澤大 埼玉2]

 4月29日の神奈川大戦以来、リーグ戦での出場機会のなかった2年生CBが上位対決で大仕事をしてのけた。

 前半26分にCBが退場していた流通経済大は0-1の後半15分、12試合ぶりの出場となるCB天野健太(2年=流通経済大柏高)をピッチへ送り出し、DFラインの中央へ配置。U-20日本代表CB山村和也(2年=国見高)をボランチへポジションチェンジする攻撃的システムへの変更を行った。同点に追いつくために攻撃力のある山村をゴールへ近づけ、リーグ戦出場経験の少ない天野に守備を託すベンチワーク。山村も期待に応えて決勝点を演出したが、中野雄二監督は「久々の出場でよくやった」とマン・オブ・ザ・マッチに駒澤大の猛攻を懸命に跳ね返した天野の名を挙げた。
 
 天野は流通経済大柏高が07年度に全日本ユース(U-18)選手権と全国高校選手権の2冠を獲得したときのストッパー。大舞台での経験、実績はある。それでも前線へクロス、ロングボールを次々と放り込んでくる駒大の攻撃の圧力は大学トップクラスだ。封じきることは決して簡単ではなかったが、天野はチャンスを力に変えた。「あの場面で出してもらえたことを感謝している。駒大は強いと聞いていたけど、自分の力を出すことだけ考えていた。前向きにやってきた結果がきょう出たと思う」。
 出場から3分間で逆転したチームの最後方で相手の攻撃を跳ね返し続け、自らがピッチに立った以降の30分間は全日本大学選抜のCB中山友規主将(4年=駒澤大学高)まで前線に上げて1点を取りに来た駒大を無得点に封じた。

 今季序盤は、2年生ながら大学随一とも言える選手層を誇る流経大で早くもベンチ入り。ただし、ポゼッションなどの部分で課題が出て、定着することはできなかった。トップチームを外れ、A2チームに当たるJFLチームや1年生チームでプレーする中で足りない部分を見直してきた。その結果「言われてきたことをとにかく吸収しようと。周りを見る能力などDFとして重要な部分がついてきた」ことで再び、トップチームへ。そして高校時代に大舞台を経験してきた男はこの日、重要な場面での起用にも物怖じせずに役割を遂行した。

 中野監督、コーチ陣が新たな選手の台頭を熱望するCBの候補。相手を跳ね返す強さは十分に見せただけに、今後もポジションを争う他のライバルたちとの違いを出すことができるか。同学年にはU-20年代屈指のCB山村がいるだけに、天野は「(山村は)1番近くにいる目標。一緒にコンビを組めればいい。レギュラーに食い込めるように頑張る」。高校時代2度の日本一を経験しているタフなCBはまずは目の前にいるライバルに少しでも近づき、レギュラー獲りを果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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