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[全日本ユース(U-18)選手権]浦和が個の力で圧倒し横浜FMを下す(浦和ユースvs.横浜ユース)

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[9.7 高円宮杯第19回全日本ユース(U-18)選手権大会 グループリーグ第1節 浦和ユース2-1横浜ユース 駒場]

 プリンスリーグ3位・浦和レッズユースと同2位・横浜F・マリノスユースの対戦。浦和は35分にFW阪野豊史(18)が先制点を決めたが、68分に横浜FMの07年U-17W杯代表・FW端戸仁(18)のボレーシュートで同点に追いつかれる。しかし、U-19代表のFW高橋峻希(18)が75分に決勝弾を奪い、勝ち点3をもぎ取った。

 両チームのフォーメーションは、浦和が4-3-3なのに対し、横浜FMは4-4-2。浦和は既にトップデビューを果たした高橋、MF山田直輝(18)、FW原口元気(17)を配し、磐石な陣容だった。
 横浜FMにもJ1に2試合出場した齋藤学が在籍しているが、こちらはトップでの試合に備え、登録メンバーから外れる。J1出場こそしていないが、トップチームの練習に参加済みの端戸とCB甲斐公博(18)に期待が集まった。

 試合は前半から浦和ペース。DF、中盤の選手の出足がよく、横浜FMの選手が「ボールを奪ってもすぐに奪い返される」(横浜FM・和田武倫監督)。ボール奪取後の浦和は、右FW・高橋と左FW・原口を使ったワイドな攻撃を仕掛け、切れ味鋭いストライカー・阪野が相手ゴールに迫る。そこに攻撃的MFの山田と田仲智紀(18)が絡み、自在にパスを回していく。また、ミドルレンジからも積極的にシュートを狙い、前半だけでシュート数計13本を放つ。
 35分の浦和の1点目は左サイドから。ワンツーで抜け出した山田がクロスを送り、ゴール前で高橋がシュート。相手GKに一度は弾かれたが、こぼれ球を阪野がきっちりと押し込んだ。
 横浜FMの前半のシュートはわずか1本。ロスタイムに右SB・曽我敬紀(18)がドリブルで中へ切り込んで強烈なミドルでゴールを狙うも、シュートは相手GKの正面に。

 後半の序盤もレッズがボールポゼッションで優位に。54分には左サイド約20mの距離からのFKを原口が蹴り、惜しくも相手GKの好セーブに阻まれる。ところがその後、浦和の運動量が落ちてくる。そこで横浜FMは左MFに塩田光(17)を投入。彼が左サイドでスピーディな突破を仕掛け始め、横浜FMの攻撃に転じる機会が増えてくる。そして68分。右サイドでフリーでパスを受けたMF関原凌河(17)がゴール中央へライナー性のクロスを送り、それを端戸がボレー。ジャストミートではなく、ふわりとしたシュートだったが、これが決まってふり出しに戻る。
 その後、膠着状態に入りかけたが、75分に高橋の決勝ゴールが生まれる。浦和のクリアボールが右サイドでワンバンし、相手の左SB・岡直輝(17)がその処理に一瞬、躊躇する。高橋がそれを見逃さず、走り込んでボールを奪取。そのままドリブルシュートし、低い弾道のボールがネットに突き刺ささった。
 ラスト10分、横浜FMは途中出場の07年U-16代表・松本翔が、左FKでゴールを強襲するのがやっと。好機を作り出せず、浦和が初戦をものにした。

 勝利の立役者となった高橋は、試合後、あまり表情が冴えなかった。その理由は自分のプレー内容にある。
「チーム全体がよかったが、自分は最初からバテていて、全然ダメ。調整不足の面があった。トップチームの練習がハードで休む時間がなくて・・・。また、(ユースの試合は)余裕を持ちすぎて、逆にボールを取られてることが多い」
 トップ出場を重ねている彼ならではの悩みがあるようだった。
 その高橋だが、次戦と3戦目はU-19代表の仙台カップに参加するため、出場できない。しかし、高橋抜きでも浦和は十二分に強さを発揮するのではないか。この日の浦和は、それぐらい個の能力の高さをまざまざと見せつけていた。

<写真>個の力で相手を圧倒し勝利を収めた浦和ユースイレブン
(取材・文 小林智明)

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