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憲剛が新司令塔へアピール!香川弾をアシストし“新ホットライン”に自信

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[9.4 キリンチャレンジ杯 日本1-0パラグアイ 日産ス]

 日本代表最激戦区のボランチでMF中村憲剛(川崎F)が、新ゲームメイカー就任へアピールに成功した。後半19分、中央で香川真司からパスを受けた憲剛は、ボールをキープして前線のスペースを探した。香川が一気にギアを入れて左から中へ走り込んだのを見逃さない。狙い済ました強めのスルーパスで最終ラインを切り裂き、決勝点をアシストした。

 「(香川)真司がいい動きをしてくれた。オレはそれに合わせただけ。(ハーフタイムに)狙っとけという話をしてたし、真司も出してください、と。前半、パラグアイが(アグレッシブに)きてましたけど、この暑さの中で絶対にもたないと思っていた。案の定、落ちた」

 憲剛はニヤリと笑った。相手が疲れ、足が止まりかけた状態を見逃さなかった。計算された絶妙なアシスト。まさに舵取り役のボランチ、ゲームメイカーにふさわしい仕事をしてみせた。今回、MF遠藤保仁、MF長谷部誠のW杯レギュラーボランチが怪我で不在となった。チームの心臓部が総替わりし、憲剛の右足にチームの命運が託されたが、しっかりと期待に応えた。

 南アフリカW杯は、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦の1試合のみの出場だった。後半36分から出場し、チームの勝利に貢献しようと奮闘した。持ち味は出したが、相手の強固な守りに苦しみ、得点につながる仕事はできなかった。しかし、リベンチマッチでアシスト。「僕もそうだけど、あのとき(W杯に)出てない選手、今まで出ていていた選手もそうですが、周りが新しい日本代表を期待してくれて、きょうも6万人入ってくれて、下手な試合はできないなと思っていた」とこの試合に賭ける思いを明かした。

 ザッケローニ新監督の前で、香川との“新ホットライン”を印象付けることもできた。香川は南アフリカW杯のサポートメンバーで、控え組だった憲剛は、いつも香川と同じチームでプレーしていた。そこで、香川のプレーの特徴をつかんだという。「紅白戦とかいつも一緒にやってて、ああいう左から中に入っていくのが好きなのは知っているから」。ドルトムントでトップ下を務めるなど攻撃力が評価されている香川は今後、新生日本代表の攻撃のキーマンになる可能性が高い。そうなると『憲剛-香川』のホットラインが活かされる。

 「勝ったんで、いいスタートが切れたと思うけど、このあと、(ザッケローニ)監督がメンバーをまたセレクトしますし、選手は毎試合毎試合、ベストを尽くすだけだと思う。自分の特徴というか、そういうところアピールしながら、存在を出していきたい」

 当然だが、憲剛はこれだけで満足することはない。「パスを配るのが自分の特徴。それをやらなかったら自分じゃない。スルーパスだけでなく、局面を変える一つのコンパクトパスとか、チームのためにしっかり出したい」。今後も自分らしさを発揮して、代表に生き残っていくことを誓った。たしかに代表選考は白紙の状態。遠藤、長谷部も安泰とはいえない。新生ジャパンの心臓になるべく憲剛はアピールを続ける。

<写真>日本代表MF中村

(取材・文 近藤安弘)

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