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若きチームを束ねたキャプテン、長谷部「アジア杯優勝は頂上じゃない」

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[1.29 アジア杯決勝 日本1-0(延長)オーストラリア カリファ]

 金色の紙吹雪が舞う中、アジアカップを高々と掲げた。キャプテンのMF長谷部誠(ボルフスブルク)が歓喜の中心で、アジア制覇の喜びをかみ締めた。

 「日替わりで、試合ごとにヒーローが替わる。あまり試合に出られなかった選手が結果を出す。チュンソン(李忠成)もほとんど試合に出ていなかった。そういう選手が試合に出て、結果を出して、総力戦で勝ったことがうれしい」

 平均年齢約25歳の若きチームを引っ張った。日増しに高まるキャプテンとしての自覚。ピッチ内外でリーダーシップを発揮した。

 「最初に集まったとき、若い選手にはお客さん感覚のところがあった。自分たちが戦うという心構えが正直なかった。そこをみんなで変えていこうと」

 1-1の引き分けに終わった大会初戦のヨルダン戦後、長谷部は控え選手たちに意見を聞いて回った。

 「ベンチの意識も把握しないといけないと思った。岩政さんとかにどういう雰囲気だったかとか聞いて、みんなで話し合ってやらないといけないと思った」

 積極的に若手に声をかけ、日本代表の一員としての誇りや意識を説いた。こうした行動に出たのも、昨年の南アフリカW杯の経験があったからだ。大会直前に結果が出ず、岡田武史前監督の去就問題も浮上する中、選手同士で話し合い、土壇場で一丸となってベスト16進出を果たした。

 ザッケローニ監督も強調した「団結力」。長谷部は「それはW杯のときから実感してやってきている。点を取れば、ベンチも含めてみんなで喜んだり、ロッカールームでは試合に出ていない選手がサポートしたり」と言う。少しでもあのときのチームに近づけたい。その一心でチームを束ね、アジアの頂点へと導いた。

 「まだ甘い部分はいっぱいある。でも、今大会で間違いなく成長した」。そう胸を張りながら、キッパリと言った。「アジア杯で優勝したからといって、世界で勝てる保証はない。個人的にも、もっともっと動かないといけない。世界には守備をしながら前に行ける選手はたくさんいる。もっといいところに顔を出さないと、世界では勝てないと自分自身、思った」と貪欲に語った。

 「アジア杯優勝は頂上じゃない。みんながクラブに帰って、高い意識でやってほしい」。アジアナンバー1も通過点。14年のブラジルW杯で南ア以上の成績を残すためにも、今の歩みを止めるわけにはいかない。

[写真]日本代表MF長谷部

(取材・文 西山紘平)

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