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課題残した09年初陣、決勝点の田中達「一発目の試合としては良かった」

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[1.20 アジア杯予選 日本2-1イエメン 熊本]

 打てども打てども入らなかった。ボール支配率は75.1%。シュート数は27本。嵐のように浴びせたシュートも決定力を欠いた。

 徹底的に守備を固めるイエメンを攻めあぐねた。縦関係の2トップを組んだFW田中達也(26=浦和)とFW興梠慎三(22=鹿島)にマンツーマンでマークを付け、その背後に2人のスイーパーが構える超守備的布陣。田中達は「(イエメンに)リベロがいるのは分かっていたけど、ダブルリベロはビックリした」と明かし、MF中村憲剛(28=川崎F)も「後ろに2人も余らせる面白いシステムだった」と驚きを隠せなかった。

 フリーでボールは持てるし、パスも自由につなげる。しかし、ゴール前に迫っても、そこから先にスペースはなく、DFの厚い壁だけが待っていた。ポストに当たる不運やGKの好守、DFの体を張った守りもあったが、執拗に中央から攻める単調な攻撃は簡単にはね返された。キャプテンマークを巻いてチームの司令塔となった中村は「球離れが遅くならないようにしようとハーフタイムに言った。前半はボールを持ってから人を探してしまって、相手がそろっているところに突っ込んでしまった。後半はしつこくサイドチェンジしながら長短のパスを入れたら、前半よりも崩せた」と振り返った。

 2月11日のW杯アジア最終予選で、オーストラリアがイエメンのように守りを固めてくるとは思えないが、3月28日には同じ中東のバーレーンとホームで対戦する。6月10日にもホームでカタール戦を残しており、引いて守る相手を崩さなければならない状況は今後も出てくるだろう。後半15分にFW巻誠一郎を投入してからも、巻の高さを生かすような攻撃パターンはほとんど見られなかった。スペースがない状況で、岡田ジャパンの代名詞ともなりつつある“小兵軍団”がどう局面を打開していくか。あるいは別の攻撃の形を構築していくのか。最後の決定力を含めて、修正すべき課題はまだまだ山積している。

 「勝ちを目指してやった試合だし、良かったと思う。もっとコンディションも上がっていくと思うし、09年の一発目の試合ということでは良かったと思う」と田中達。オーストラリア戦までには、今回のイエメン戦を含めて3試合ある。“テストマッチ”で課題が出たという意味では価値ある試合になったのかもしれない。

<写真>決勝点を決めたFW田中
(取材・文 西山紘平)

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