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「感覚は非凡」、森本がデビュー戦で"圧巻アシスト"

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[10.10 キリンチャレンジ杯 日本2-0スコットランド 日産ス]

 6万1285人の観衆が揺れた。後半11分、FW森本貴幸(カターニア)がピッチ横に立つと、まだオンプレー中にもかかわらず、スタンドからは大歓声が巻き起こった。注目のA代表デビュー。サポーターの期待の大きさが表れていた。

 「普通にああいう歓声はうれしかったし、自分のパワーになりました」。34分間のデビュー戦。消えている時間もあったが、ボールに絡んだときは潜在能力の高さをうかがわせた。

 当たり負けしないフィジカルの強さとキープ力。ゴール前に飛び込む迫力、そしてゴールの嗅覚。後半37分、DF駒野友一がゴール前に鋭いクロスボールを入れた場面ではファーサイドに走り込み、DFのオウンゴールを誘った。

 真骨頂は後半45分だ。駒野の左クロスを受けると、ゴール前の密集地帯で左足の絶妙なワンタッチから鋭く反転。前を向いて右足でシュートを放った。これはDFの体に当たったが、こぼれ球をMF本田圭佑が押し込み、ダメ押しゴール。「ニアにいいボールが来た。シュートに持っていけるタイミングだったので。入らなかったけど、結果的に本田クンが決めれて、良かったと思います」。デビュー戦で2得点に絡むプレー。「自分なりにまあまあ持ち味を出せたので、よかったと思います」と自己採点した。

 淡々とした口ぶりの本人をよそに、周囲は絶賛の嵐だった。本田は「モリのおかげ。ありがとうと一言、言っておきました」と感謝し、岡田武史監督は「(2点目は)森本のターンしてのシュートがなかったら起きなかった。そういう感覚は非凡だなと。ゴール前に入っていく動きも期待以上だった」と饒舌に語った。

 「小さいときからテレビで見ていたので、うれしいし、いろんな人が応援してくれて本当に良かったと思う」。待望のAデビュー戦を戦い終えた怪物の実力は、まだまだこんなものではないはず。「(前線からの守備や切り替えの早さなど)このチームにはこのチームのやらなきゃいけないことがある。ただ、FWなんでチャンスがあれば得点に絡んでいきたい」

 森本が完全にフィットしたとき、どんなプレーが見られるのか。岡田ジャパンのエースとなったFW岡崎慎司との共存は? 今後への期待感をあおるには十分な34分間だった。

<写真>日本代表FW森本
(取材・文 西山紘平)

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