[5.27 キリン杯 日本0-0パラグアイ 埼玉]

　日本代表は27日、埼玉スタジアムでパラグアイ代表と対戦し、MF中村俊輔(29=セルティック)が岡田ジャパン初出場を果たしたが、0-0の引き分けに終わった。大会は1勝1分で日本が優勝。00～01年以来となる連覇を達成した。

　日本は24日のコートジボワール戦(1-0)から先発から7人を入れ替えた。4-2-3-1のシステムで、GK楢崎正剛(名古屋)、4バックは右から阿部勇樹(浦和)、寺田周平(川崎F)、田中マルクス闘莉王(浦和)、長友佑都(F東京)。中盤は中村憲剛(川崎F)と鈴木啓太(浦和)がダブルボランチを組み、中盤の右に中村俊輔(セルティック)、左に遠藤保仁(G大阪)、トップ下に山瀬功治(横浜FM)が入り、巻誠一郎(千葉)の1トップだった。コートジボワール戦に続いて先発したのは楢崎、闘莉王、長友、遠藤の4人だけ。32歳359日でA代表デビューの寺田は最年長初出場歴代4位の記録となった。

　パラグアイは4-3-3。GKゴメス(ナシオナル)、4バックは右からカニサ(クルス・アスル)、ベロン(プーマス)、ベニテス(リベルタ)、ヌニェス(セロ・ポルテーニョ)で、中盤はアンカーにE・ゴンサレス(エストゥディアンテス)が入り、右前にブリテス(セロ・ポルテーニョ)、左前にアキノ(リベルタ)が位置。3トップは右からマルティネス(リベルタ)、ボガド(エストゥディアンテス)、エスティガリビア(セロ・ポルテーニョ)と並んだ。22日のコートジボワール戦(1-1)からは先発4人を入れ替え、途中出場で同点ゴールを決めたボガドが先発した。

　試合は序盤から日本が圧倒的にボールを支配した。守備時は山瀬が巻と2トップに並ぶ形で高い位置を取り、前線からプレスをかけた。ボールを奪えば、中村俊、中村憲、遠藤と技術の高い選手がそろう中盤がおもしろいようにボールをつないだ。
　前半6分には阿部、山瀬、中村憲と細かくつないでPA内に進入。最後は巻の横パスから山瀬がゴール前に走り込んだが、体勢が崩れてシュートを打ち切れない。同10分にも阿部、遠藤、中村俊とダイレクトでパスをつなぎ、中村俊がスルーパス。これは巻の位置がオフサイドだった。
　前半17分には決定機をつくった。左サイドで遠藤、山瀬、中村憲とパスを回し、中村俊が左足で鋭いクロス。セットプレーの流れで前線に残っていた闘莉王が頭で合わせたが、GKの好守に阻まれた。
　中盤でボールはつながる日本だが、肝心のシュートは闘莉王のヘディングぐらい。徐々にパラグアイも対応し、中盤で厳しいプレスをかけてくると、日本の選手はなかなか前を向いてフリーでボールを持つことができなくなった。中盤の選手が下がってボールを回す場面が多く、前線で巻が孤立。ボールはキープしていながらチャンスに結びつけられなくなった。
　局面を打開しようと、前半38分に山瀬の横パスを受けた中村憲がミドルシュートを狙うが、ワンテンポ遅れてシュートはDFの体に当たる。同43分にも巻のパスを受けた中村憲が再び右足でミドルシュートを放ったが、GKが好セーブでCKに逃れた。
　中盤でボールを奪われ、カウンターを受ける場面も出始め、ボールは支配していたもののシュートが少なく、決して圧倒したとは言えない前半だった。

　流れを変えるべく、日本はハーフタイムに遠藤を下げて、MF松井大輔(ルマン)を投入。山瀬が左MFに移り、松井がトップ下に入った。前半同様、ボール支配率では上回るが、攻めあぐねる時間が続く。後半16分には中村俊の浮き球パスに巻がオフサイドラインぎりぎりで抜け出したが、ヘディングは合わせきれなかった。
　後半18分、巻と鈴木に代えてFW高原直泰(浦和)とMF長谷部誠(ボルフスブルク)を入れた。しかし高原が前線で起点になれない。松井はすばらしいボールさばきを見せたが、得点に結びつけることはできなかった。
　逆に後半20分にはヌニェスの強烈なFKを楢崎が前にはじき、フリーのE・ゴンサレスに至近距離からシュートを打たれるピンチを招いた。相手のシュートミスに救われ、事なきを得たが、あわや失点の場面だった。
　後半32分、山瀬とFW大久保嘉人を交代し、2トップに変更。直後の33分、長友のパスから大久保がミドルシュートを打つなど積極的にゴールを狙ったが、枠を捉えきれない。
　後半44分、松井の絶妙なパスから長谷部が右サイドのスペースに飛び出してクロス。大久保がゴール前に走り込んだが、トラップが大きくなった。結局、試合はそのまま0-0で終了。パラグアイの2軍を相手にスコアレスドローの内容は決定力以前の問題で、どうシュートを打っていくのか、W杯予選を前に大きな課題を残す試合だった。

(取材・文　西山紘平)