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雨に濡れたピッチを利用した頭脳的FK、野沢「入ると信じていた」

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[5.10 ACL第2節 鹿島2-1シドニーFC 国立]

 地を這うようなシュートがゴールネットを揺らした。1-1の後半39分、PA手前やや左で獲得したFKのチャンス。鹿島アントラーズのMF野沢拓也が右足から放ったグラウンダーのシュートは、壁に入ったDF西大伍の足に当たってコースが変わり、ゴール右隅へ吸い込まれた。

「前半に(FKを)蹴ったとき、GKが早く動いていた。雨も降ってスリッピーだったので、(GKが構える位置と)同サイドを狙えば入ると信じていた」

 雨で濡れたピッチコンディションを利用する頭脳的なFK。壁がGKの視野をさえぎり、球足の伸びたシュートが逆転の決勝点になった。

 4-2-3-1の右サイドで先発した野沢だが、DF岩政大樹から「タク(野沢)が真ん中にいた方がそこで受けてリズムができるんじゃないか」と言われたこともあり、0-1で折り返した後半はトップ下に回った。

「前半はいつも通り僕がサイドをやっていたけど、後半は真ん中でパスをさばいて、FWに近い位置でプレーした。それで後半は攻撃のバリエーションが増えたと思う」

 前半は孤立気味だったFW大迫勇也も徐々に攻撃に顔を出し始め、後半19分に大迫が同点ゴール。そして、土壇場の同39分に野沢の決勝FKが生まれた。

 すでにグループリーグ突破を決めている鹿島だが、引き分けに終われば、今夜試合を行う水原三星(韓国)が負けない限り、2位通過となるところだった。勝ち点3を獲得したことで、水原が引き分け以下なら鹿島のH組首位が確定。決勝トーナメント1回戦をホームで戦うことができる。

 過去2年、いずれも一発勝負の決勝トーナメント1回戦で敗れている鹿島にとって、悲願のアジア制覇へ最大の関門となる。野沢は「何度も1回戦で負けを味わっているし、それはみんなが分かっていること。一発勝負に対する入り方を意識して、今年は口だけじゃなく、一つひとつ勝って今年の思いをぶつけたい」と強い決意を口にしていた。

[写真]決勝点を決めた野沢

(取材・文 西山紘平)

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