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[高校MOM246]静岡学園FW中西倫也(3年)_逆転勝利もたらした“異色のストライカー”

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.30 全国高校総体静岡県予選準決勝 静岡学園 3-2 磐田東 富士総合]

 この日のヒーローはラテン系の技巧派軍団・静岡学園では異色の“フィジカル系”ストライカー、FW中西倫也(3年)だった。

 プリンスリーグ東海1部で首位に立つなど優勝候補筆頭の静岡学園が前半を終えて2点ビハインド。だが後半開始からピッチに立った中西は10分にMF大島僚太の右クロスから同点ヘッドを叩き込むと、延長後半5分には大島のスルーパスで抜け出し、決勝点となるPKを獲得。逆転劇の主役となった。

「技術は出ていたメンバーで一番下」と苦笑いする中西だが、川口修監督が「高校生離れしている。能力は高いですよ」と絶賛するほど抜き出たスピードとジャンプ力を持つ。和歌山県の岩出FCアズールから静岡学園へ進んだ中西は、2年生時は進学クラスに籍をおいていたという文武両道だが、「進学クラスではサッカーに集中できない。何のためここへ来ているのかというとサッカーのため。将来の目標はプロになることだし、勉強を捨ててもサッカーにかけたかった」と3年生へ進学する際に同校史上初めてという、進学クラスから一般の普通科クラスへ転籍。これまでは徹底的にボールを回す攻撃スタイルのチームの中でレギュラーを勝ち取ることができていなかったが、サッカーに集中してきたFWはこの日「(チャンピオンズリーグのように)点数をつけると7.0ですね」と自画自賛する活躍で「中学校の時はいつもあと少しのところで負けていた。縁がない」という全国へ王手を懸けた。

 名門・静岡学園にとっても悲願となっている全国総体まであと1勝。この日、過去の敗戦の歴史を拭い去るような劇的勝利をもたらした中西は「全国へ行けないと意味がない。惜しいじゃダメ。自分は組み立てとかでは貢献できないので、とにかくゴール。積極性を出していく」と決勝でも再びチームを救う活躍をすることを誓っていた。 

(取材・文 吉田太郎)

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