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[MOM293]西武台DF町山阿記(3年)_レッズ出身の“エースキラー”

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.5 全国高校総体準々決勝 西武台 1-0 米子北 具志川多種目球技場Aコート]

 その男は大会ナンバー1ストライカーとの勝負を楽しんでいた。「自分より強かったり、特別速かったりした相手の方が集中力が増すんです。そして思い切り戦える」。

 西武台の182cmCB町山阿記(3年)がこの日、対峙したのは09年大会得点王でJ数クラブが獲得を狙う米子北FW谷尾昂也(3年)だった。「(谷尾は)空中戦では自分の方が高いので負けないように。あと前を向かせると恐いのでカバーしながら注意してやっていた」と常に相手エースを視界に入れながらプレー。前半は決定的な場面をつくられたが、後半はシュートを打たせず、得点も許さなかった。
 結果的に谷尾を無得点に封じ込んだ町山に対して守屋保監督は「彼は相手のエースを潰してくれる。谷尾クンのように力のある選手が相手だと喜んで、目の色を変えてやってくれる。(実力の高い相手でも)負けないし、判断、組織ができればもっと伸びると思います」と説明。その評価通り、町山はこの日、エースキラーとしての実力を改めて証明した。

 町山は中学時代、浦和レッズの下部組織でプレー。だが当時は実力が不足していた上に怪我もありユースチームへ昇格することはできなかった。それでも「自分は身長が高いので、ヘディングもですけれど、スピードにも自信をもっています」というCBはレギュラーとして1月の全国高校選手権を経験し、DFの核として臨んでいる今回、チームの4強進出の立役者となっている。

 日本一まであと2勝。全国制覇はもちろんだが、もうひとつの目標は準決勝を突破して全日本ユース(U-18)選手権の出場権を獲得することだ。同大会には中学時代チームメートだった選手を多数擁する浦和ユースも出場する。「今、レッズでやっている奴らと高円宮で試合したい」。だからこそ「まずは一戦一戦大事に」と滝川二との準決勝勝利を誓った。

(取材・文 吉田太郎)
写真協力『高校サッカー年鑑』

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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