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[MOM297]市立船橋MF藤橋優樹(3年)_準決勝出場停止の無念晴らす“恩返し”の優勝ゴール

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.7 全国高校総体決勝 市立船橋 4-1 滝川二 与那城総合公園陸上競技場]

 仲間への恩返しを誓っていた背番号10のビューティフルボレーが市立船橋に7度目の優勝をもたらした。1-1で突入した延長前半6分、市立船橋は右サイド後方からのFKを得るとMF河崎敬が正確な右足キック。PAで両チームの選手が競り合ったこぼれ球に反応したのはMF藤橋優樹(3年)だった。

 腰を落とし身体を左へ傾けながら放った、抑えの利いた右足ボレーが滝川二ゴールを襲う。強烈なシュートはGKの頭上を射抜いた後、クロスバー下側に弾かれたが、ゴール内側でバウンドしたボールはそのままゴールネットへと吸い込まれた。ヒーローは「入った瞬間、『やったゾ』と。うれしかった」。

 自分が決めるつもりだった。藤橋は立正大淞南(島根)との準々決勝で大会通算2枚目の警告。累積警告により、桐光学園(神奈川1)との準決勝は出場停止となってしまった。中盤の核である藤橋不在となったチームは中盤でボールが落ち着かず、桐光学園に苦戦。後半は押し込まれ、失点の危機もあった。だがチームメイトたちは試合終了間際の決勝ゴールにより決勝進出。だからこそこの試合は「みんなが決勝につれてきてくれて。みんなに恩返ししようと思っていた」。その思いを強さを白熱の延長戦で、自らのゴールで表現した。

 さらに延長前半8分には、FW和泉竜司のスルーパスでDFラインの背後を突くと、右サイドでの鮮やかなボールコントロールから走りこんだMF石原幸治へピンポイントのラストパスを送り勝利を決定付けた。チームでただ一人、08年の優勝を知る男は自身2度目の高校日本一に「みんなのお蔭です」。ただ、責任を果たした10番は間違いなく劇的勝利の立役者だった。

(取材・文 吉田太郎)

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」

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