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[MOM444]浦和東MF中村ジュリオユキオ(3年)_日系3世のアタッカーが鮮烈ゴール

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.26 高校総体埼玉県予選決勝 武南1-2浦和東 埼玉第3]

 ブラジル人の両親を持つ日系3世MFの豪快な一撃が浦和東を埼玉の頂点へと導いた。0-0の前半30分、浦和東は敵陣左中間でボールを持ったMF中村ジュリオユキオが右足シュート。中村はシュートとともに体勢を崩していたが、DFにブロックされたこぼれ球に素早く立ち上がって拾うと間髪いれずに左足を振りぬく。左足を身体に巻き込むように全身で放った一撃は、弾丸ライナーとなってゴール右隅へと突き刺さった。

「普段からアップのときにコーチについてもらって反転シュートの練習をしていた。(ゴールを決めた)シュートの動きも似ていたと思う。練習どおりに打てた」。パワーあふれる圧巻の一撃。会心のゴールを決めた背番号11は出迎えた控え選手一人ひとりとハイタッチしてゴールを喜んでいた。

 ブラジル生まれで1歳の時から埼玉県の鴻巣で暮らす中村は、父親が日本人とブラジル人のハーフで母親はブラジル人。コーチングスタッフは「もっとブラジルらしい良さを出してほしい」と苦笑いするが、この日は局面で見せるテクニックで相手のプレッシャーをかわし、後半33分には相手に倒されながらも出した好パスでMF大澤敬に決定機をもたらした。圧倒的な存在感を発揮するまでには至っていないが、攻撃面ではチームの貴重なアクセントとなっていた。

 目標はプロ選手になること。だからこそ日本代表GK川島永嗣をはじめDF坂本将貴(千葉)やDF菊地光将(川崎F)ら多数のJリーガーを輩出している浦和東を進路に選んだ。「先輩が世界で活躍している。野崎さん(監督)の指導がよくてプロになりやすいと思った。ここで頑張ればプロになれる可能性がある。(きょう)タイトルを取ったことで(目標に)少し近づくことができたと思います」。

 全国総体の出場権を獲得したことで関係者たちに全国で自分のプレーを見てもらう機会を増やすことができる。「持ち味のドリブルをもっと活かせるように。もっとチームの勝利に貢献したい」。まずは全国大会までの1ヵ月間で着実に成長を遂げること。そしてブラジル国籍のMFは、全国舞台を自身の将来のためのアピールの場とするつもりだ。

(取材・文 吉田太郎)

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