beacon

[MOM68]中央大FW安柄俊(2年)_北朝鮮代表入り目指すFWがロスタイムV弾

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.9 関東大学1部第6節 中央大 2-1 法政大 江戸川]

 将来、北朝鮮代表入りを目指す大型ストライカーが劇的なゴールで中央大に勝ち点3をもたらした。後半ロスタイムも2分が経過。誰もの頭にドロー決着がよぎっていたが、中大はMF佐藤謙介(4年=浦和ユース)の左クロスをファーサイドの大岩一貴(3年=中京大中京高)が折り返す。「大岩さんはヘディングが強いので、クロスが上がった時点で競り勝つな、と。ゴールへのイメージはできていた」というFW安柄俊(2年=東京朝鮮高)が右足を振りぬくとシュートは法政大ゴールへと突き刺さった。

 「DFが耐えてくれていたので前も最後まであきらめないでやろうと必死だった」という安。開幕戦では先発出場も、その試合で右足首を負傷した。だが第3節に復帰すると、ともに途中出場だった早稲田大戦、筑波大戦で2戦連続ゴールを決めて、この試合で先発復帰。そしてこの試合でも前半7分に3戦連発となるゴールを決めていたが、「点を取ってチームの力になりたい」と力を込めるFWは、1点では満足せず、最後まで集中力持続させて、怪我でチームに迷惑をかけた分を決勝ゴールで取り戻した。

 ただ、佐藤健監督は「(安は)あれくらい出来て当たり前」とこれからのさらなる爆発に期待する。183cmの長身を活かしたヘッドと弾丸シュートを武器とする安自身も「バイタル(エリア)以外のところでのプレーの質をもっと上げないと上では通用しない。きょうもミスが多かった。ミスをなくし、そしてチームが苦しいときに決めることのできるFWになりたい」と力を込めた。

 東京朝鮮高2年時にU-17北朝鮮代表に選出され、注目を集めた。大学では「よりレベルの高いところで」と08年度日本一の中大進学を選択。そして2年から先発入りと着実に階段を上ってきている。将来の夢は日本で育ち、北朝鮮のW杯代表メンバーへ選出された鄭大世(川崎F)らのように「自分の祖国。北朝鮮代表として国際大会で活躍すること」だ。まだ実績が足りない現在は、将来を切り開くために目の前の試合で点を取ることに集中する。

(取材・文 吉田太郎)

TOP