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[MOM73]法政大DF上野恭平(4年)_今季初出場のキーマンがチーム救う

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.23 関東大学1部第9節 国士舘大 1-1 法政大 NACK]

 右手を強く握り締めたまま走り出した背番号2が、あっという間にオレンジの輪に包まれた。後半39分、1点ビハインドを追う法政大は右サイドで途中出場のMF小檜宏晃(3年=成立学園高)、MF金子直道(4年=帝京高)とつなぐと、PAへ送られたボールにSB上野恭平(4年=大津高)が鋭く反応。飛び出してきたGKよりも一瞬早く上野が右足を振りぬくと、シュートはゴール左隅へと吸い込まれた。ピッチへ飛び出してきたサブ組たちに飛びついた上野は、後方から追いかけてきたオレンジのユニフォームの波にのまれ、手荒い祝福を受けていた。

 驚異的な運動量と高い攻撃力を備える上野は今季、チームのキープレーヤーのひとりに挙げられていた。だが、体調不良で満足に練習参加することができず、ここまでの出場はゼロ。ポジションの右SBには1年生ルーキー木村高彰(前橋育英高)が起用されてきた。だが、木村が負傷で不在のこの日、水沼貴史監督は「リスク覚悟で」上野を先発起用する。

 水沼監督は「1年生が使われて歯がゆかったと思う。ただ、前節、彼(上野)が応援席から言っていた声がベンチまで聞こえていた。出たい、見ているのはつらいという気持ちが伝わったし、チームの状態が悪くて何とかしたいという気持ちを汲んだ」。練習試合で起用した上野と話し合って状態を確認し、“カンフル剤”として先発起用を決断。指揮官の期待を意気に感じたか、上野は右サイドで90分間走り抜く。

 そして試合終盤にPAまで飛び込み大仕事。ここまでのコンディションを考えると「90分出来たのは奇跡的」と水沼監督も驚くプレー、精神力で3連敗中だったチームに勝ち点1と浮上のきっかけをもたらした。

<写真>後半39分、同点ゴールを決めた法大・上野が渾身のガッツポーズ
(取材・文 吉田太郎)

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