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[MOM76]流通経済大FW武藤雄樹主将(4年)_窮地救う2発のスーパーゴール

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.6 総理大臣杯関東予選ブロックE決勝 早稲田大 2-2(PK4-5)流通経済大 早稲田大東伏見サッカー場]

 「きょうは武藤に尽きる。いつも、ベンチから武藤、武藤と言っているのは期待しているからなんです。きょうは(JFLで)Hondaから4点取ったりしている潜在能力を出してくれた。4年生らしさ、底力を発揮してくれた」と中野雄二監督が絶賛したFW武藤雄樹主将(4年=武相高)が、2度も追い詰められながらPK戦の末に全国切符をつかんだ流通経済大の勝利の立役者だった。

 全国舞台をかけた一戦で「スーパーゴール」2発を叩き込んだ。前半ロスタイムに先制を許した流経大は後半もなかなか決定的なシュートへ持ち込むことができず、0-1のまま残り5分を迎える。だがその暗雲を武藤が一撃で吹き飛ばす。後半40分、相手のミスからGK増田卓也(3年=広島皆実高)のフィードを敵陣中央で受けた武藤は、一気にトップギアへ。「フォローも来ていないし、自分でいってやろうと思った」と、前を塞ぐDFを物ともせずに単独で強引に仕掛けると、そのまま左足シュートをゴール右隅へと突き刺した。指揮官が「日本人にはない、相手を引きずってでもゴールへ向かう姿勢。日韓戦のパク・チソンのゴールのようだった」と振り返ったゴールで追いついた流経大は延長戦へと持ち込んだ。

 チームを救う起死回生の同点弾を決め、両手を広げてベンチへと駆け寄る背番号11。早稲田大と流通経済大の選手たち、そしてこの日会場を訪れた人々はそれから約35分後にも再びこの光景を目にすることとなる。早稲田大が再び勝ち越して迎えた延長後半6分、武藤は1年生MF椎名伸志(青森山田高)からスルーパスを引き出して、右サイドを抜け出す。ゴールまでの距離はやや残っていたが「いいところに抜けて、いい形でボールを置くことができた。あそこの位置からのシュートには自信があった」と放った右足シュートを逆サイドのゴール左隅へと沈めた。

 武藤は関東1部リーグの開幕2試合で5ゴールもその後はゴールラッシュがストップし第9節終了時点で6ゴール。攻撃の組み立てを意識するあまり、持ち味の前へ行く姿勢が薄れていた。「監督からは自分で行け、と言われていた。キャプテンとして、4年生として何とかしたかった」と武藤主将。170cm、64kgの体型、同じ背番号11、そして動き出しを特徴とする点も類似し、関係者から「まるで(広島の)佐藤寿人のよう」と評価されるFWが、自身も復活を遂げる2発でチームを窮地から救い、PK戦勝利をもたらした。

 次の目標は全国。「(総理大臣杯)本戦でも結果を出せればいい。全国優勝できるように練習から準備していく」。全国でもエースが、チームを勝利へ導くゴールを決める。

(文 吉田太郎)

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