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[MOM138]中央大GK岡西宏祐(3年)_「唯一の武器」シュートストップでゴール死守

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.22 関東大学1部リーグ第4節 国士舘大1-1中央大 西が丘]

 シュート数は6-18。国士舘大の鋭いカウンター攻撃の前に再三冷や汗をかかされるようなシーンのあった中央大だったが、JFA・Jリーグ特別指定選手としてヴァンフォーレ甲府に登録されている守護神、GK岡西宏祐がビッグセーブを連発し、勝ち点1をもぎ取った。

 最大の見せ場は前半ロスタイムに相手エース、全日本大学選抜FW吉野峻光(4年=静岡学園高)と1対1となった場面。左脇下を射抜こうとした吉野の右足シュートを驚異的な反応により左手指先で触ると、ボールはゆっくりとゴール左ポストの外側へと転がっていった。ハーフタイム突入と同時にU-22北朝鮮代表FW安柄俊(3年=東京朝鮮高)が抱きついて讃えたほか、佐藤健監督も「よく止めてくれました」と賞賛していた堅守。「1本止めて乗れたと思う」と振り返った岡西は後半も国士大攻撃陣の前に立ちはだかった。

 MF佐藤優平(3年=横浜FMユース)やMF岩崎晃也(4年=青森山田高)らが放った決定的なシュートをことごとく阻止。シュートコースがやや甘いものもあったが、至近距離からの強烈な一撃を次々とはじき出す岡西が確実に国士大を追い詰めていた。33分にセットプレーからDF瀬川和樹(3年=盈進高)に同点ゴールをねじ込まれ「最後の1点をかき出せなかったことが悔しい」と顔を曇らせていたが、それでも「シュートストップはオレの唯一の武器だと思っている。これ以外は並のGK。ここだけは誰にも負けたくない」と絶対の自信を見せるシュートストップで、この試合、最も大きなインパクトを残した。

 山梨学院高では全国制覇を成し遂げたMF碓井鉄平(現駒澤大2年)らのひとつ上の世代。高校時代にもU-17日本代表に選出されるなど注目を集め、当時から甲府への練習参加も行っていたが、今月13日に甲府から特別指定を受けたことでまた意識が高まった。「チャンスもらったんで、これを無駄にしたら後はない。周りの目も変わってくる。ダメなプレーばかりしていたら疑問の声だって上がると思う。責任もってやりたい。とにかく点取られないこと」。

 憧れの存在は全日本大学選手権を制した08年度もゴールを守っていた現水戸ホーリーホックのGK小野博信。「私生活、練習からの態度、声とか間近で見れたんでよかった」。今年の中大のGK陣は川崎フロンターレ特別指定選手のGKシュミット・ダニエル(2年=東北学院高)らポジション争いが熾烈だが、「憧れていた」小野も身に着けていた中大の背番号1の後継者が、これからもそのビッグセーブでゴールを守り抜く。

(取材・文 吉田太郎)

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