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[MOM277]矢板中央MF渡辺光(3年)_静学出身のスーパーサブが決勝G!

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.1 全国高校総体1回戦 矢板中央 2-1 松商学園 具志川多種目球技場Bコート]

 故障との戦い、そして転校。困難へ立ち向かいながら今大会を迎えている矢板中央の15番、MF渡辺光がヒーローとなった。1-1の後半20分に投入された渡辺光はその4分後、左ショートコーナーからSB阿久津貴紀の上げたクロスを頭でゴールへと押し込んだ。

 試合序盤に先制点を許すなど、苦しい展開だった試合に決着をつけるゴール。「自分が決めてやるという気持ちだった。うれしかった」と振り返るアタッカーは高橋健二監督のところへ一直線に駆け寄り、その後チームメートから手荒い祝福を受けた。

 選手権全国4強のチームに勝利をもたらしたヒーロー。その歩んできたサッカー人生は決して順風満帆ではない。栃木で過ごした中学時代から静岡の名門・静岡学園へ進学。だが、股関節痛に悩まされた渡辺光は家族と相談した結果、1年時の11月に地元・栃木へ戻ることを決断する。矢板中央へ転校。規定により半年間は公式戦に出場することができなかった。左足首、じん帯も損傷し「辞めたいな」と思ったこともある。それでもあきらめずに練習を続けた結果、選手権初戦では全国舞台で決勝ゴール。スーパーサブとして結果を出した。

 全国での実績のあるアタッカーだが今大会も役割はスーパーサブだ。先発で試合に出たいという思いもあるが「後半から自分を出すことに意味がある、と先生が考えてくれている。与えられた役割を果たしたい」。股関節の状態は今すぐに手術を受けなければならないというもの。決して万全な状態ではないが、今後もそのゴールでチームを勝利へと導くつもりだ。

 今大会、決勝でしか対戦することは不可能だが、MF星野有亮らかつてのチームメートたちがいる静岡学園と対戦できる可能性がある。怪我により、苦しい日々を過ごしてきたアタッカーは旧友たちと大舞台で再会することを願っている。

(取材・文 吉田太郎)

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」

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