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[選手権]2トップ競弾!西武台が九国大付下す

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[1.2 全国高校選手権2回戦 九州国際大付 1-2 西武台 埼玉]

 第89回全国高校サッカー選手権2回戦が31日に、各地で行われた。埼玉スタジアム2002(埼玉)の第1試合では九州国際大付(福岡)と地元・埼玉の西武台とが対戦。西武台が2-1で勝利した。

 共に攻撃陣がタレント豊富ということもあり、前半立ち上がりは互いに積極的にカウンター攻撃を掛け合う展開となった。しかし次第に試合が落ち着いてくると、ロングボールを使ってくる西武台に対し、九州国際大付は徐々にDFラインを下げさせられてしまい、流れは西武台に傾いた。

 迎えた18分、西武台はMF松本和樹(3年)が前線に浮き球のパスを送る。前線で待っていたFW佐々木雅人(3年)が相手DFに競り勝ったが、真上に打ち上げるようなヘディングシュートとなる。しかし風に乗ってこれが山なりのループシュートのようになり九州国際大付GK栗原佳太(3年)の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。ややラッキーな形ではあったが、西武台が先制した。

 先制後は西武台が押し込む時間帯が続いたが、九州国際大付も30分頃からFW木下篤海(3年)が何度もシュートチャンスを作ったが得点に至らず、1回戦でハットトリックを決めたFW田口光樹(2年)はシュートすら打たせてもらえなかった。前半は西武台が1-0とリードで終えた。

 後半立ち上がりは九州国際大付が押し気味の展開となったが、その流れを食い止めたのは大宮アルディージャ加入が内定しているFW清水慎太郎(3年)だった。後半10分、左SB大迫翔太(3年)のクロスをゴールを背にして受けた清水。即座に反転して相手DFのマークを振り払い、左足を振り抜いて鮮やかにシュートを決めた。

 その後は九州国際大付も反撃を試みたが、手堅く人数をかけて守った西武台にうまくスペースを消されて田口のスピードが生きず、思うように決定機を作れなかった。それでも九州国際大付は後半40分、DF工藤真仁主将(3年)のクロスから木下がヘディングシュートを決めて1点を返したが、反撃及ばず試合終了。西武台が2-1で勝利した。

 決勝点となった西武台・清水の得点を生んだのは守屋保監督のハーフタイムの的確な指示だった。「前半始まって早々阿部祐希(3年)が切れ込んで何回かチャンスがあった時、清水がDFラインの裏でヘディングを待つ場面が多く見られていたので、後半一番最初に修正したいと思いハーフタイムに『阿部が切れ込んだ時にまずニアで立ってみろ、立ったところで受けて振ったらどうか。何人いても振り抜くのがお前の良さじゃないのか。裏でごっつぁんなんか待つな!今日は戦いに行け!』と言ったら、本当に実行してくれてすごい」と守屋監督は満足そうに振り返った。

 清水も「前半終わって守屋先生にあの位置(左サイド)で受けろ、と言われて1本目のパスで決められて嬉しかった。トラップとDFをかわしたのも、逆サイドのネットに流し込んだのもイメージ通り」と狙い通りの得点であったことを明かした。西武台屈指のタレント清水のポテンシャルを生かす守屋監督の的確な指示が、勝利を呼び込んだ。

 敗れた九州国際大付の杉山公一監督も「予想していた以上に清水君の能力の高さがあった。ヘディングの強さだけでなく、消えているところから入っていくのが巧かった」と清水の能力の高さを認めざるをえなかった。

 エース清水の活躍で勝利した西武台は1月3日、NACK5スタジアム大宮にて作陽(岡山)と対戦する。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 小林健志)
【特設】高校選手権2010

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